こんにちは。釣りスタイル、運営者の「アツシ」です。
潮通しが良くて青物や大型の根魚が狙える沖堤防は、私たち釣り人にとってまさに憧れのフィールドですよね。休日の朝、渡船に乗って海風を感じながらポイントに向かうワクワク感は、何物にも代えがたいものがあります。しかし、最近インターネットで釣り場の情報をリサーチしていると、「沖堤防 釣り禁止」という不穏なキーワードや、立ち入り禁止エリアへの侵入で警察沙汰になったという話をよく目にしませんか?「渡船を使えば合法なんじゃないの?」「地図には載っていないけど、地元の人は入っている場所はどうなの?」と、正確な境界線がわからず不安を感じている方も多いはずです。
正直なところ、私自身も昔は「釣れるなら少しくらい…」と甘く考えていた時期がありました。しかし、あるきっかけで法律の厳しさを知ってからは、そのリスクの大きさにゾッとした経験があります。この記事では、現役の釣り人としての視点と、徹底的なリサーチに基づいた事実を交えて、沖堤防の規制事情について包み隠さずお話しします。
- 沖堤防が厳格に立ち入り禁止となっている本当の理由と法的背景
- 釣り禁止場所で検挙された場合の罰金相場や逮捕後のリアルな流れ
- 万が一の事故で保険金が一切支払われない「免責事項」の恐怖
- 安全かつ合法的に釣りを楽しむための正しい情報収集スキル
沖堤防の釣り禁止理由と無視した場合の法的措置
「昔は自由に入れたのに、なんで今はこんなにうるさいんだ?」と疑問に思うベテランの方もいるかもしれません。しかし、現在の沖堤防における規制は、単なるマナー違反やゴミ問題といった次元を超えて、国際的な条約や日本の法律に基づいた非常に厳しいものへと変化しています。ここでは、なぜこれほどまでに取り締まりが強化されたのか、そしてルールを破ったときに待っている「逮捕」という現実について、詳しく解説していきます。
なぜ立ち入り禁止?SOLAS条約とテロ対策

まず、私たちが絶対に理解しておかなければならないのは、多くの沖堤防や重要港湾施設が「SOLAS(ソーラス)条約」という国際的なルールの下で管理されているという事実です。正式名称を「海上における人命の安全のための国際条約」と言いますが、釣り人にとっては少し聞きなれない言葉かもしれませんね。
この条約の運用が激変したきっかけは、2001年にアメリカで発生した同時多発テロ事件です。これを機に、国際的な物流拠点となる港湾施設をテロリズムの標的から守るため、保安対策が世界レベルで義務付けられました。日本でも「国際船舶・港湾保安法」という法律が整備され、重要な港湾施設のフェンス強化、監視カメラの設置、そして一般人の立ち入り制限が徹底されることになったのです。
つまり、自治体や港の管理者が「釣り人はゴミを捨てるから嫌だ」という感情論で意地悪をしているわけではありません。国際的な義務として、物理的に立ち入りを遮断せざるを得ないという、非常に重い事情があるのです。特に、海外からの貨物船が出入りするような「重要港湾」や「特定港湾」に指定されているエリアでは、テロ対策の観点から、関係者以外の立ち入りは法律で固く禁じられています。
SOLAS条約の対象エリアにおいては、「ゴミを完璧に持ち帰るから釣らせてくれ」「マナーを守るから大丈夫」といった釣り人側の理屈は一切通用しません。そこはレジャー施設ではなく、国を守るための「制限区域」だからです。
私たち釣り人が「海はみんなのもの」と感じるのは自然なことですが、法的には「港湾機能」と「保安」が最優先されます。この認識のギャップこそが、トラブルを生む最大の原因と言えるでしょう。以下の国土交通省の資料でも、港湾における保安対策の重要性が示されています。
(出典:国土交通省『国際テロ対策(港湾・船舶)』)
バレるとどうなる?警察の監視と通報

「早朝の暗いうちならバレないだろう」「テトラの影に隠れていれば船からも見えないはず」と考えているなら、それは人生を賭けた非常に危険なギャンブルです。現代の港湾部には、私たちの想像をはるかに超える監視網が敷かれています。
高性能監視カメラとドローンの存在
まず、重要港湾には高性能な防犯カメラや監視カメラが多数設置されています。これらは単に映像を撮っているだけでなく、侵入を検知して管理センターにアラートを送るシステムが導入されている場所もあります。車のナンバーはもちろん、侵入者の服装や特徴まで鮮明に記録されており、「その場では誰にも会わなかった」としても、後日警察が自宅に来るというケースは十分にあり得ます。
SNSという「デジタルタトゥー」
さらに恐ろしいのが、SNSによる発覚です。最近では、釣り人自身がSNSへの投稿が証拠となって、後日呼び出しを受けるケースが増えています。大物が釣れた嬉しさで、ついInstagramやX(旧Twitter)、YouTubeに写真をアップした経験はありませんか?
「場所は書いていないから大丈夫」と思っていても、背景に写り込んだ工場の煙突、テトラポットの形状、対岸の景色などから、Googleアースを使えば場所の特定(特定班と呼ばれる人たちもいます)は容易にできてしまいます。自ら違法行為の証拠を世界中に発信し、それが「デジタルタトゥー」として一生残ることになるのです。
市民による110番通報の増加
また、地元の漁師さんや、ルールを正しく守っている他の釣り人からの「110番通報」も頻繁に行われています。「自分たちが入っていない場所に、ズルをして入っている奴がいる」という状況は、真面目な釣り人からすれば許せない行為です。そのため、監視の目は警察だけでなく、周囲の一般市民も含まれていると考えるべきです。「誰も見ていない」と思っているのは、侵入している本人だけなのです。
軽犯罪法と建造物侵入罪の罰金相場
では、実際に立ち入り禁止の沖堤防や港湾施設に侵入した場合、どのような罪に問われるのでしょうか。「たかが釣りで捕まるわけがない」「注意されて終わりだろう」と思っていると、取り返しのつかないことになります。
適用される可能性が高い2つの法律
- 軽犯罪法(第1条32号):
「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者」
罰則:拘留(1日以上30日未満)または科料(1,000円以上1万円未満) - 刑法第130条(建造物侵入罪):
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し…た者」
罰則:3年以下の懲役または10万円以下の罰金
一般的に、看板やロープで表示されている場所に侵入した場合は「軽犯罪法違反」が適用されることが多いですが、フェンスを乗り越えたり、施錠されたゲートを壊したり(器物損壊も加わります)、明らかに強固な管理を突破して侵入した場合は、より重い「建造物侵入罪」が適用されるリスクが高まります。
「罰金が数千円なら、釣り堀代より安いじゃん」なんて冗談でも言ってはいけません。金額の大小に関わらず、これらは立派な「刑事罰」です。警察署に連行され、取調室で調書を取られ、指紋と顔写真を撮られる…このプロセス自体が精神的に強烈なダメージとなります。また、「科料」であっても前歴として記録に残る可能性があるため、決して軽い処分ではないのです。
沼津で現行犯逮捕された事例の現実

法的な解説だけでは実感が湧かないかもしれませんので、実際に静岡県沼津市で発生し、釣り人界隈に衝撃を与えた逮捕事例について詳しくお話しします。この事例がなぜ注目されたかというと、逮捕されたのが「反社会的な勢力」や「不良グループ」ではなく、ごく普通の60代の釣り好きの男性だったからです。
この男性は、その日いつもの場所で釣果が振るわなかったため、「よく釣れると噂のあった場所(立ち入り禁止区域)」へ移動しました。そこは狩野川河口の導流堤で、鉄柵で囲まれて明確に立ち入りが禁止されているエリアでした。しかし、「みんな入っているし、自分も大丈夫だろう」という軽い気持ちで柵を越えてしまったのです。
結果はどうなったか。パトロール中の沼津警察署員に見つかり、逃げる間もなく軽犯罪法違反の疑いで現行犯逮捕されました。そのままパトカーに乗せられ、警察署へ連行。家族への連絡、厳しい取り調べ、そして検察への送致(書類送検)という、犯罪者としての手続きをすべて受けることになったのです。
この事例から学ぶべき教訓は、「悪気がなくても、釣りたいという欲求だけで逮捕される」という事実です。警察は「見せしめ」として厳しい対応を取ることがあります。特に、事故が多発している地域や、漁協からの苦情が多いエリアでは、「今日から一斉摘発を行う」という方針に切り替わっている可能性が常にあります。
前科がつくと社会生活に与える影響
逮捕された後、どのような社会的制裁が待っているのでしょうか。もし起訴されて有罪判決(略式起訴による罰金刑を含む)が確定すれば、戸籍には載りませんが、検察庁の犯歴データベースに「前科」として記録されます。また、不起訴(起訴猶予)になったとしても、「前歴」として警察の記録には残り続けます。
職場への影響と解雇リスク
私は普段サラリーマンをしていますが、もし自分が逮捕されたらと想像すると震えが止まりません。逮捕されれば、少なくとも数日間は身柄を拘束される可能性があります。その間、会社には「体調不良」などで誤魔化すかもしれませんが、長引けば隠し通すのは困難です。また、報道されて実名が出れば、会社の就業規則にある「信用失墜行為」に該当し、懲戒解雇や減給、降格処分の対象になるリスクも十分にあります。
家族への裏切り
何より辛いのは、家族への影響です。休日に「釣りに行ってくる」と笑顔で出かけた父親が、数時間後に警察から「ご主人が建造物侵入で逮捕されました」と連絡が入るのです。妻や子供が受けるショックは計り知れません。近所の噂になるかもしれませんし、子供がいじめられる原因になるかもしれません。「たかが魚釣り」で、家族の平穏な生活をすべて壊してしまう可能性があるのです。
1匹の魚を釣るために、ここまでのリスクを背負う価値があるでしょうか?私は断言しますが、絶対にありません。
沖堤防の釣り禁止エリアに渡船で入る危険性
次に、沖堤防への移動手段として利用される「渡船(とせん)」について解説します。正規の許可を得て営業している素晴らしい渡船屋さんも多い一方で、グレーゾーンやブラックな営業を行っている業者も存在し、それが釣り人を危険に晒しています。
違法渡船業者の利用が招くトラブル
渡船業者の中には、行政から正式に許可を得て、安全なエリアに渡してくれる「正規業者」と、許可を得ずに営業したり、立ち入り禁止区域と知りながら釣り人を渡す「モグリ(違法)」の業者が存在します。
もし、あなたが「こっそり渡してくれる船」を見つけて利用したとします。そこで警察や海上保安庁の摘発が行われた場合、どうなるでしょうか?業者側が逮捕されるのはもちろんですが、お金を払って利用した釣り人も「共犯」や「幇助(ほうじょ)」とみなされ、芋づる式に検挙されるリスクがあります。警察は業者の顧客リストや予約履歴を押収しますから、「その場にいなかったからセーフ」とはなりません。
また、違法業者は発覚を恐れるあまり、安全対策をおろそかにしがちです。定員オーバーで乗せたり、ライフジャケットの着用を徹底しなかったり、最悪の場合、事故が起きても「自分たちが捕まるのが嫌だから」という理由で通報を遅らせたり、隠蔽しようとする可能性すらあります。自分の命を預ける相手として、これほど信用できない存在はありません。

立ち入り禁止場所での事故は保険適用外

これは意外と知られていない、しかし非常に恐ろしい経済的な落とし穴です。私たち釣り人の多くは、万が一のために「レジャー保険」や「傷害保険」に入っているかと思います。しかし、お手元の保険証券や約款をよく確認してみてください。
そこには必ずと言っていいほど、「被保険者の法令違反行為」や「重大な過失」によって生じた事故は、保険金の支払い対象外(免責)になるという条項が含まれています。
| 損害・費用の種類 | 正規の釣り場での事故 | 禁止区域への侵入事故 |
|---|---|---|
| 治療費・入院費 | 保険適用(上限まで) | 全額自己負担(免責) |
| 個人賠償責任 (他人に怪我をさせた等) |
保険適用 | 自己負担の可能性大 |
| 死亡・後遺障害保険金 | 支払われる | 支払われない可能性大 |
| 救援者費用 | 保険適用 | 自己負担(違法行為起因) |
立ち入り禁止の看板やフェンスを無視して侵入する行為は、法的に見て「軽犯罪法違反」等の法令違反であり、かつ危険であることを認識してあえて行った「故意」または「重大な過失」と判断される可能性が極めて高いです。
もし、禁止エリアのテトラポッドから転落して複雑骨折し、長期入院になったとしましょう。手術費や入院費で数百万円かかったとしても、保険会社は「免責事由」として支払いを拒否します。すべて自腹です。もし亡くなってしまった場合も、残された家族に保険金は下りないかもしれません。「ルールを破った代償」としては、あまりにも高額で残酷な結末が待っています。
救助費用は高額?自己責任の代償
海で事故に遭った場合、海上保安庁や消防による公的な救助活動自体は、原則として無料(税金)で行われます。しかし、状況はそれだけでは済みません。
例えば、公的な救助隊が到着する前に民間のサルベージ会社が出動した場合や、地元の漁船に捜索協力を依頼した場合は、燃料代や人件費などの「実費」や「謝礼」を請求されることがあります。また、油流出などを伴う事故であれば、その清掃費用も請求されます。
実名報道による社会的信用の失墜
そして金銭以上のコストが、「報道」です。立ち入り禁止区域での転落事故はニュースバリューが高いため、「〇〇港の立ち入り禁止防波堤で、釣り人の男性(XX歳)が転落」と実名入りで報道されるリスクが跳ね上がります。ネットニュースになれば、コメント欄には「自業自得」「迷惑をかけるな」といった辛辣な言葉が並び、デジタルタトゥーとして永遠に残ります。職場や地域での信用を一瞬で失うことになり、救助された後も地獄のような日々が続くことになります。
ネットの地図情報は古い!現地の看板優先

釣行計画を立てる際、Googleマップの航空写真や、個人の釣りブログを参考にする方は多いと思います。「ここの堤防、先端まで行けそうだな」「ブログで釣果報告が上がっているから大丈夫だろう」と考えがちですが、ここにも罠があります。
インターネット上の情報は、必ずしも「リアルタイム」ではありません。Googleマップの写真は数年前のものかもしれませんし、ブログ記事は「今は禁止になったけど、記事を削除し忘れている」だけかもしれません。実際、先月までは入れた場所に、今月になって急に新しいフェンスと「立入禁止」の看板が設置された、というケースは全国で多発しています。
【鉄則】情報の優先順位
現地の看板・フェンス・警告表示 >>> ネットの地図情報・過去のブログ・SNSの噂
現場に行って「立入禁止」の看板があったら、それが絶対のルールです。「ネットには書いてなかった」「知らなかった」という言い訳は、警察官の前では通用しません。少しでも「禁止」「関係者以外立入禁止」の表記があれば、どんなに良さそうなポイントでも、引き返す勇気を持つことが、賢い釣り人の選択です。
沖堤防の釣り禁止を守り安全な釣行を
ここまで、沖堤防の釣り禁止にまつわるリスクについて、少し厳しい現実も含めてお話ししてきました。大物が釣りたい、もっと良い思いがしたい、人とは違う場所で釣りたい…その気持ちは、同じ釣り人として痛いほどよく分かります。私だって、爆釣している沖堤防の話を聞けば心が揺らぐことはあります。
しかし、その一歩を踏み出した先にあるのが、「逮捕」や「多額の賠償」、「命の危険」、そして「家族の悲しみ」だとしたら、それは決して割に合う行為ではありません。たった一度の過ちで、大好きな釣りが一生できなくなるかもしれないのです。
幸いなことに最近では、行政と釣り人が協力して、合法的に安全に楽しめる「海釣り公園」として開放された防波堤や、ライフジャケット着用を義務付けた上で正規の渡船業者が案内してくれる安全な沖堤防も全国に数多く存在します。私たち一人ひとりがルールを守り、マナーを向上させることが、これ以上釣り場を減らさないための唯一の方法であり、釣り文化を未来に残すための責任でもあります。
リスクを冒してビクビクしながら竿を出すのではなく、堂々と胸を張って、安全に心から釣りを楽しめる場所を選んでいきましょう。それが、真の「釣りスタイル」だと私は思います。

