こんにちは。釣りスタイル、運営者の「アツシ」です。
最近、釣りをしていると「ライフジャケットに桜マークがないとダメ」という話をよく聞くようになりましたよね。私自身、遊漁船に乗るときに船長さんから厳しくチェックされた経験があります。
ただ、このルール、ちょっと複雑じゃないですか?「桜マークとは一体何なのか?」「義務化はいつから始まったのか?」「罰則はあるのか、それは船長が対象なのか?」など、疑問が尽くません。
特に混乱するのが場所による違いです。遊漁船やプレジャーボートはダメみたいだけど、じゃあ陸から歩いて行ける堤防や陸っぱり、渡船で渡った磯釣りではどうなるのか?
また、ライフジャケット自体も、膨張式や固型式、タイプAといった分類があって、どれを選べばいいのか分かりにくいですよね。中古品でもいいのか、ボンベの有効期限はどうなっているのか、管理も気になります。
この記事では、そうした「ライフジャケットと桜マーク」に関する様々な疑問について、できるだけ分かりやすく整理していこうと思います。
- 桜マークの法的な意味と義務化の背景
- 「船」「磯」「堤防」シチュエーション別の着用義務
- 罰則の対象者と具体的な内容
- 安全なライフジャケットの選び方と管理方法
ライフジャケットで桜マークないとダメな状況
まず、「桜マークなしがダメか?」という疑問の答えですが、これは「乗る船や状況によって法的な結論が変わる」というのが正直なところです。この問題をややこしくしているのは、「国土交通省」と「水産庁」という2つの省庁のルールが関係しているからなんですね。
「船の上」の安全は国土交通省、「遊漁船(渡船)のサービス」の一環としての安全は水産庁、といった具合に管轄が分かれています。それぞれのルールがどんな状況で適用されるのか、一つずつ整理してみましょう。
桜マークとは?国土交通省の型式承認

まず基本の「キ」ですが、「桜マーク」についてです。
これは、そのライフジャケットが国土交通省の定めた安全基準(浮力、強度、材料、試験方法など)をクリアしていますよ、という「証明」のマークです。正式には「型式承認品」と呼ばれます。(出典:国土交通省「ライフジャケットの着用義務拡大」)
よく「推奨マーク」みたいに思われがちですが、そうではありません。法律(船舶安全法)に基づいて「小型船舶に乗る際は、この認証を受けたものを着なさい」と定められた、公的な認証マークなんですね。桜の花びらの中に「型」という文字が入っているのが特徴です。
補足:桜マークと「CSマーク」の違いは?
釣具店などで、桜マークとは別に「CSマーク」というものが付いたフローティングベストを見かけることがあります。これは「(一財)日本舟艇工業会」が定めたレジャー用(カヌー、SUP、ラフティングなど)の安全基準マークです。
浮力性能などはありますが、CSマークは国土交通省の型式承認品(桜マーク)ではありません。したがって、遊漁船やプレジャーボートなど、桜マークの着用が義務付けられている小型船舶に乗船する際は、CSマークのベストでは法的な要件を満たせない(=ダメ)ということになるので、注意が必要です。
義務化はいつから?罰則の対象は船長
この桜マーク付きライフジャケットの着用が義務化されたのは、2018年(平成30年)2月からです。プレジャーボートや漁船など、基本的に「すべての小型船舶」の乗船者が対象になりました。
ただ、義務化されてもすぐには罰則が適用されませんでした。法律ができたことを皆に知ってもらうための「周知期間」が設けられたんですね。
そして、その周知期間が終わり、実際に違反に対する罰則(違反点数)が適用されるようになったのは、2022年(令和4年)2月1日からです。
最近になって「桜マーク、桜マーク」と厳しく言われるようになったのは、この「罰則」という実質的なペナルティが現実のものになったから、というのが大きいかなと思います。
そして、ここが非常に重要なポイントです。
罰則の対象は「船長」です
もし桜マークなしのライフジャケットを着用していたり、そもそも未着用だったりした場合、罰則を受けるのは乗客(私たち釣り人)本人ではありません。
乗客に正しく着用させなかった船長(小型船舶操縦者)が、違反点数2点の付与や再教育講習の対象となります。
違反点数が累積して行政処分基準(5点)に達すると、船長は最大で6ヶ月の免許停止という重い行政処分を受けることになります。これは船長にとって、まさに死活問題です。
だから、船長さんは安全コンプライアンスに非常に厳しくなっています。私たちが乗船時に「桜マーク付いてますか?」と確認されたり、持っていない場合に「乗船を断る」または「桜マーク付きのものを貸し出す」といった対応を取るのは、船長さんの免許と生活を守るためでもあるんですね。私たち釣り客にとっては、「罰せられないから大丈夫」ではなく、「船に乗せてもらえない」という現実的な結果につながるわけです。
遊漁船やプレジャーボートは義務
では、具体的にどんな状況で「桜マークがないとダメ」なのか。
一番分かりやすいのが、遊漁船(釣り船)やプレジャーボートといった「小型船舶」に乗っている時です。これは先に説明した国土交通省の「船舶安全法」の管轄です。
船の「甲板上」(船室の外)にいる間は、原則として桜マーク付きのライフジャケットを着用する義務があります。
着用が免除されるケース
法律はリスクベースで設計されているので、特定の条件下では着用が免除されます。典型的な例は以下の通りです。
- もっぱら屋根と壁に囲まれた「船室」の中にいる者
- 防波堤の内側で係留(船を岸壁につないでいる)中の船の上にいる者
これらは「船外への転落」のリスクが極めて低いと判断されるためです。ただし、これはあくまで原則論。たとえ船室内にいても、天候が荒れて船が大きく揺れている時などは、船長の指示に従い着用が必要になるケースもあります。基本的には「船長の指示が絶対」と考えるのが安全ですね。
堤防や陸っぱりでの着用義務は?

「じゃあ、船に乗らない釣りならどうなの?」という疑問。例えば、車や徒歩でアクセスできる堤防、防波堤、あるいは地続きの磯(陸っぱり)での釣りです。
これらは「小型船舶の乗船」ではないため、国土交通省の法律(船舶安全法)の対象外です。
結論から言うと、これらの場所でのライフジャケット着用は、法律上の「義務」ではありません。任意です。桜マークが付いていなくても、もちろん罰則はありません。
ですが、言うまでもありませんが、法的な義務がなくても、安全のために着用することは強く、強く推奨されます。
特に足場の高い堤防や、濡れているテトラポッドなどは、船の上とはまた違った落水の危険があります。一度落ちてしまうと、自力で這い上がるのは非常に困難です。
法律で決められていないから着ない、ではなく、自分の命を守るための「安全装備」として、陸っぱりの釣りでもライフジャケット(この場合は桜マークなしのフローティングベストでもOK)を着用する習慣をつけるのが、賢明な判断かなと私は思います。
遊漁船で渡る磯での特別ルール

ここが一番ややこしいところで、多くの人が混乱するポイントです。「渡船(遊漁船)」を使って、沖の磯や防波堤に渡してもらう場合のルールです。
このシナリオでは、国土交通省のルールに加えて、水産庁の「遊漁船業の適正化に関する法律」という別のルールも関係してきます。
状況を2つに分けて考える必要があります。
1. 船での移動中
これは簡単です。渡船も「小型船舶」なので、磯や防波堤へ移動している(船に乗っている)間は、国土交通省の「船舶安全法」が適用されます。つまり、桜マーク付き(国土交通省認定品)の着用が義務です。これは先ほど説明した通りですね。
2. 渡った先の磯・防波堤の上
ここからが水産庁のルールです。遊漁船業者は、利用者の安全確保のために「業務規程」を定めており、その中で、船を降りた後の磯や防波堤の上でも、ライフジャケットを着用すること自体が義務付けられています。
問題は、「じゃあ、そこでも桜マークが必要なの?」という点です。
水産庁のQ&Aなどの資料を見ると、「ただし、釣り等の船外への転落のおそれがある行為を行わない場合は、桜マーク付きのライフジャケットである必要はなく、使用環境に応じた適正品を着用していただければ結構です。」といった旨の記載があります。
…ただ、考えてみてください。渡船で磯に渡る人の目的は、ほぼ100%「釣り」ですよね。「転落のおそれがある行為(=釣り)」を行わない場合、というのは、仕掛けを準備したり、食事をしたりするために水際から離れている、ごく限定的な状況だけです。
磯で「釣り」を行う瞬間は、実質的に「桜マーク(型式承認品)と同等以上の性能」が求められると解釈するのが妥当です。
結論:船で着ていた桜マーク付きを、そのまま着続ける
法解釈は非常に複雑ですが、私たち利用者が安全かつ容易に法律を遵守する方法は一つです。 「船に乗るために着用した桜マーク付き(タイプA)のライフジャケットを、磯や防波堤に降りた後も、釣りが終わって帰りの船に乗るまでずっと着続けること」です。
これが、国土交通省(移動中)と水産庁(磯の上)、双方の法律の要求を満たす、唯一かつ最も確実な方法だと考えるのがシンプルですね。

ライフジャケット桜マークなしだとダメ?選び方
さて、桜マークの重要性、特に船に乗る場合は「ダメ」であることが分かったとして、次に「じゃあ、どんな桜マーク付きライフジャケットを選べばいいの?」という疑問が出てきますよね。桜マーク付きの中にも、実は種類があります。安全に関わることなので、選び方もしっかり押さえておきたいところです。
ライフジャケットのタイプAとは?
桜マーク付きのライフジャケットには、性能や使用できる航行区域によって「タイプ(Type)」が分かれています。
色々ありますが、私たち釣り人が覚えるべきは、非常に重要な「タイプA(Type A)」です。
航行区域による分類
国土交通省は、船が航行できる水域を危険度に応じて分類しています。
- 平水区域: 湖、川、港内、東京湾など、陸に囲まれて比較的静かな水域。
- 沿岸区域: 海岸から5海里(約9.26km)以内の水域。
- 沿海区域・遠洋区域: 5海里を超える、より外洋の水域。
そして、ライフジャケットのタイプは、これらの区域に対応しています。
| タイプ | 平水区域 | 沿岸区域 (5海里以内) | 沿海区域・遠洋区域 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| タイプA | 〇 使用可 | 〇 使用可 | 〇 使用可 | 全ての航行区域に対応(万能) |
| タイプD | 〇 使用可 | 〇 使用可 | × 使用不可 | 平水・沿岸区域のみ |
| タイプF | 〇 使用可 | 〇 使用可 | × 使用不可 | 平水・沿岸区域のみ(作業用など) |
| タイプG | 〇 使用可 | × 使用不可 | × 使用不可 | 平水区域のみ(小型船舶など) |
遊漁船がどこまで走るか(5海里を超えるか)は、その日の状況や狙う魚種、ポイント次第です。いちいち「今日の船はタイプDで大丈夫かな?」なんて心配するのは現実的じゃありません。
ですから、私たち釣り人が選ぶべき答えはシンプルです。 「桜マーク付きのタイプA」を選んでおけば、いかなる小型船舶の乗船時にも法律違反になる心配がなく、最も安全というわけです。
膨張式と固形式の違いと選び方
ライフジャケットには、大きく分けて2つのタイプ(形状)があります。「固形式」と「膨張式」です。どちらもタイプAの認証を受けている製品があります。
1. 固形式(こけいしき)
昔からある、ベスト(チョッキ)型で、中に発泡スチロールのような浮力材が詰まっているタイプです。
- メリット: 構造が単純で比較的安価。ボンベ交換などのメンテナンスが不要(点検は必要)。落水したら確実にすぐに浮く。岩などに擦れても穴が開く心配がない。
- デメリット: かさばる。特に夏場は暑い。厚みがあるため、キャスティングなどの動作がややしにくいことがある。
磯釣りなどで、体を岩にこする可能性が高い場合や、メンテナンスの手間を省きたい場合には、固形式が好まれることもありますね。
2. 膨張式(ぼうちょうしき)
現在の主流で、落水するとセンサーが水を感知して炭酸ガスボンベで自動的に膨らむタイプです。(手動で紐を引くタイプや、両方備えたタイプもあります)
- メリット: とにかくコンパクトで動きやすい。夏場でも暑くなりにくい。キャスティングや竿の操作を全く妨げない。
- デメリット: 固形式に比べて高価。後述する定期的なボンベやスプール(起爆装置)の点検・交換が必須。穴が開くと機能しない。
膨張式にはさらに形状の違いがあります。
- 肩掛け(サスペンダー)タイプ: 両肩から吊り下げるタイプ。落水時に頭部が水面から出やすく、安全性が高いとされます。
- 腰巻(ウエスト)タイプ: ベルトのように腰に巻くタイプ。上半身が完全にフリーになるため、レインウェアのポケットを使いたい場合などに便利です。
船釣りやルアーフィッシングなど、動きやすさ(キャスティングのしやすさ)を重視する場合は、膨張式が圧倒的に快適かなと私は思います。
股紐(またひも)の重要性。未着用は危険

これは、ライフジャケットの種類に関わらず、非常に重要なポイントです。「股紐(またひも)」です。
ライフジャケット(特に固形式や肩掛けタイプ)には、体がすっぽ抜けないように、股の下を通すベルトが付いています。
「面倒くさい」「格好悪い」「着け心地が悪い」といって装着していない人も見かけますが、これは絶対にダメです。極めて危険です。
もし股紐をしないで落水すると、ライフジャケットの浮力でジャケットだけが水面に浮き上がり、体からスポッと抜けてしまう危険性があります。そうなると、水面にはライフジャケットだけが虚しく浮き、本人はそのまま沈んでしまうという、最悪の事態につながります。
着用していても「機能」しなければ意味がない
国土交通省の検討会資料でも、特に小児において「救命胴衣のズレ防止のための股紐の効果が大きい」とその有効性が公的に確認されています。
法律上、桜マーク付きを「着用」していればOKかもしれませんが、安全上は股紐を締めて初めて「機能」します。自分の命を守るために、股紐は必ず正しく装着してください。
中古品の購入リスクと注意点
フリマアプリやネットオークションで、桜マーク付きの中古ライフジャケットが出品されていることがあります。安く手に入るのは魅力ですが、特に「膨張式」の中古品には重大な安全リスクが伴うと私は考えています。
なぜなら、膨張式ジャケットの命は、内部の「ボンベ」と「スプール(起爆装置)」の状態に100%依存しているからです。
中古品の場合、前の所有者の管理状況が全く分からず、以下の点が一切確認できません。
膨張式中古品のリスク(ブラックボックス)
- ボンベの使用期限(後述)は切れていないか?
- スプールの使用期限は切れていないか?
- 過去に作動させたことがあるか?(一度作動させたら交換が必要)
- 内部に水分が浸入して、センサーが劣化したり、誤作動や不作動の原因になっていないか?
- ボンベが緩んでいたり、サビが発生していないか?
外見はキレイでも、いざという時に膨らまない「お守り」にもならない物を買ってしまう可能性があります。もし中古の膨張式ジャケットを購入した場合は、安全上の絶対条件として、即座にメーカー指定の交換用ボンベ・スプールキットを別途購入し、交換する必要があると思います。それを考えると、最初から新品を買う方が確実かもしれませんね。
ボンベの有効期限とメンテナンス

膨張式ライフジャケットは、買ったら終わりではありません。安全に機能させるための「管理義務」があります。
ボンベとスプール(カートリッジ)
これらには「使用期限」や「交換基準」があります。メーカーによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 炭酸ガスボンベ: メーカーは「購入から3年経過した場合」や「ボンベに傷、打痕、サビ、変形が生じた場合」は交換を推奨しています。
- スプール(ボビン、カートリッジ): 水を感知する起爆装置です。これには「使用期限」が明記されている場合が多く、期限内のものを使用する必要があります。
日常の点検方法
釣りに行く前には、必ず目視で点検するクセをつけましょう。
- ボンベの点検: 緩みがないか手で確認。サビ、へこみ、傷がないか目視で確認。使用済み(穴が空いている)でないか確認。
- スプールの点検: メーカーにより異なりますが、インジケーター(表示窓)が「緑色」(正常)であることを確認します。「赤色」になっている場合は、使用済みか、湿気などで作動した可能性があり、交換が必要です。
- 本体(布地)の点検: 破れや、バックルに破損がないか確認します。
膨張式ライフジャケットは、法的な「着用義務」と、安全性を維持するための「管理義務」が一体となった安全装置です。
免責事項 ライフジャケットのメンテナンス方法や部品の交換時期、インジケーターの確認方法は、メーカーや製品モデルによって異なります。必ずご自身のライフジャケットの取扱説明書や、メーカーの公式サイトで正確な情報を確認してください。不明な点は、購入した販売店やメーカーに問い合わせることをお勧めします。
桜マークなしだとダメか?結論まとめ
最後に、最初の疑問「ライフジャケットで桜マークがないとダメか?」について、もう一度まとめておきます。
結論としては、「小型船舶(遊漁船、プレジャーボート)に乗船する場合は、法律でダメ(船長の違反になる)」です。
そして、私たちが安全と法律遵守のために取るべき行動は、以下のようになります。
釣り人としての安全ルールまとめ
- 船釣り(渡船含む)のために、「桜マーク付き・タイプA」のライフジャケットを準備する。
- 船に乗る際は、股紐まで含めて正しく着用する。
- 遊漁船で磯や防波堤に渡った場合も、釣りが終わるまでそのまま着用し続ける。
- 堤防や陸っぱりでの釣り(船に乗らない)でも、法律上の義務はなくても、安全のために着用を習慣づける。
- 膨張式の場合は、ボンベやスプールの期限と状態を定期的に点検する。
ルールが複雑に見えますが、船に乗る場合に私たちがやるべきことは「タイプAの桜マーク付きを正しく着る」というシンプルなことですね。
法律だから、というのもありますが、何より自分自身の命を守るための最も重要な装備です。しっかり準備して、安全に釣りを楽しみたいものですね。

