サビキ釣りは初心者からベテランまで手軽に楽しめる魅力的な釣りですが、「周りは釣れているのに自分だけ釣れない…」と悩んだ経験はありませんか。実は、釣れる人と釣れない人の間には、見過ごしがちなポイントに違いがあります。この記事では、サビキ釣りで釣れない原因を徹底的に解明します。釣れる時間帯の選び方や効果的な夜釣りのテクニック、アジを効率良く釣るためのコツまで、具体的な疑問に答えていきます。「安いサビキは釣れないのか」「サビキ釣りでは何分待つべきか」といった悩みから、最強の仕掛け選び、アジが一番釣れる餌の秘密まで、あなたの釣果を劇的に変える情報を網羅しました。
この記事で分かること
- サビキ釣りで釣れない根本的な原因
- 釣果を伸ばすための具体的なテクニック
- 状況に応じた最適な仕掛けとエサの選び方
- 釣れる人と釣れない人の行動パターンの違い
サビキ釣りで釣れない原因は環境と準備にある
- 釣果を左右する釣れる時間帯とは
- アジが一番釣れる餌はアミエビか
- 安いサビキは釣れない?仕掛けの選び方
- 釣果が変わる最強サビキ仕掛けの条件
- 夜釣りで釣果を出すためのコツ
釣果を左右する釣れる時間帯とは

サビキ釣りで釣果を上げるために最も重要な要素は、「いつ釣りをするか」という時間帯の選択です。結論から言うと、魚の活性が最も高まる「マズメ時」と「潮が動いている時間帯」を狙うことが、釣果への一番の近道となります。どんなに高価な道具や優れたテクニックがあっても、魚のいない場所や時間帯に竿を出していては、釣果は期待できません。
なぜなら、アジやイワシ、サバといったサビキ釣りの主なターゲットは回遊魚であり、エサを求めて活発に移動する時間帯が限定されているからです。その捕食スイッチが入るタイミングを理解することが、大量釣果への第一歩と言えるでしょう。
朝マズメと夕マズメ:魚たちのゴールデンタイム
「朝マズメ」は日の出前後の薄暗い時間帯、「夕マズメ」は日没前後の時間帯を指します。この時間帯は、光量の変化によってプランクトンの活動が活発になり、それを捕食する小魚の群れが深場から岸近くまで接岸しやすくなります。いわば、魚たちの食事時間(フィーディングタイム)であり、日中は警戒心の強い魚も積極的にエサに食いついてくる絶好のチャンスなのです。
釣行計画のポイント
釣行日が決まったら、まずは天気予報サイトなどで日の出・日の入りの時間を確認しましょう。そして、その時間帯に集中して釣りができるよう、少なくとも30分前には釣り場に到着し、準備を完了させておくのが理想です。特に夏場は日中を避けて涼しいマズメ時に絞って釣りをする方が、人間にとっても快適で効率的です。
潮の動きの重要性:潮見表を味方につける
マズメ時と並行して絶対に意識したいのが「潮の動き」です。潮が動くと海水がかき混ぜられ、プランクトンが流れ、それを追って魚の活性が上がります。逆に、満潮や干潮の前後で潮の流れが完全に止まる「潮止まり」の時間は、魚の食いがピタッと止まることがよくあります。
釣行前には、気象庁の潮位表などを確認し、潮が動く時間帯を把握しておくことが重要です。一般的に、潮が満ちてくる「上げ潮」や、引き始める「下げ潮」のタイミングで時合いが訪れることが多いとされています。特に潮位差が大きくなる「大潮」や「中潮」の日は、潮の流れが速くなり、魚の活性も高まる傾向にあるため、狙い目です。
注意点:回遊情報が最優先
どれだけ良い時間帯や潮回りを狙っても、そもそも魚の群れが釣り場に回遊してこなければ釣果は望めません。「先週までは釣れていたのに今週は全く釣れない」というのはよくある話です。地元の釣具店やインターネットの釣果情報サイトで、「いつ」「どこで」「何が」釣れているか、最新の情報を確認してから出かけることが、無駄足にならないための最も重要な準備です。
アジが一番釣れる餌はアミエビか

サビキ釣りにおいて、魚を寄せるための「コマセ(撒き餌)」は釣果を左右する生命線であり、その選択と使い方が釣果を大きく分けます。結論として、アジをはじめとする多くの魚にとって最も効果的なエサは「アミエビ」で間違いありません。しかし、その使い方や種類を深く理解することで、周囲の釣り人と差をつけることができます。
アミエビには、魚が好むアミノ酸などの旨味成分が豊富に含まれており、その匂いと味で広範囲から魚を寄せ付け、釣り場に足止めする強力な効果があります。市販のアミエビには、主に「冷凍ブロックタイプ」と「常温保存可能なチューブタイプ」があり、それぞれの特性を理解して使い分けるのが賢明です。
種類 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
冷凍ブロック | ・集魚効果が非常に高い ・集魚剤と混ぜて効果を強化できる ・コストパフォーマンスが良い |
・釣行前の解凍に時間がかかる ・独特の匂いが強く、手が汚れやすい ・持ち運びや保管に手間がかかる |
・とにかく釣果を最優先したい人 ・釣行の準備に時間をかけられる人 |
チューブタイプ | ・常温保存可能で解凍不要 ・手が汚れにくく、匂いも少ない ・カゴへの注入が簡単で手返しが良い |
・冷凍タイプに比べて集魚効果が若干劣る ・内容量あたりの価格が割高になる傾向 |
・手軽に釣りを楽しみたい初心者 ・お子様連れのファミリーフィッシング |
集魚剤で効果を最大化する
アミエビ単体でも十分に魚を寄せられますが、さらに釣果を伸ばしたい場合は「集魚剤」を混ぜることを強くおすすめします。集魚剤は、アミエビの集魚効果を飛躍的に高めるための”魔法の粉”です。魚の視覚にアピールするキラキラした素材(キララ)や、魚の食いを促進する酵母、そして嗅覚を強く刺激する成分が含まれており、コマセの効果を格段にアップさせます。
例えば、釣りエサの専門メーカーであるマルキユーの「アジパワー」などが有名で、アミエビに混ぜ込むことで煙幕の拡散性が高まり、濁りを発生させて魚の警戒心を解き、より広範囲の魚にアピールできるようになります。特に、周りの釣り人と差をつけたい時や、魚の活性が低い状況でその真価を発揮します。
補足:トリックサビキという最終兵器
どうしても食いが渋い、魚は見えているのに疑似餌に全く反応しないような状況では、「トリックサビキ(トラップサビキ)」と呼ばれる仕掛けが絶大な効果を発揮します。これは、小さな針が複数ついた仕掛けに、専用の「スピード餌付け器」を使ってアミエビを直接擦り付けて釣る方法です。疑似餌に見向きもしないスレた魚にも口を使わせることができるため、奥の手として覚えておくと良いでしょう。
安いサビキは釣れない?仕掛けの選び方

「安いサビキ仕掛けは釣れないのではないか」という疑問を持つ方もいますが、結論から言うと、価格と釣果は必ずしも比例しません。100円ショップで売られているような安価な仕掛けでも、条件が合えば十分に魚を釣ることは可能です。それよりも重要なのは、その日の状況やターゲットの魚の大きさに合った「針のサイズ」と「ハリスの太さ」を正しく選ぶことです。
サビキ仕掛けは消耗品です。根掛かりで失ったり、サバなどの歯が鋭い魚に傷つけられたりすることも多々あります。高価なものを一つだけ大事に使うよりも、様々な種類の仕掛けを複数用意し、状況に応じて交換していく方が、最終的な釣果は伸びるでしょう。
針の号数(サイズ)の選び方
サビキ釣りで最もよくある失敗が、釣りたい魚の口の大きさと針のサイズが合っていないケースです。魚はたくさんいるのに全く針掛かりしない場合、まず疑うべきはこの点です。例えば、5cmの豆アジが群れている状況で8号の大きな針を使っても、アジは針を口に吸い込むことができません。逆に、25cmのサバに3号の小さな針を使うと、掛かりが浅くてすぐに外れてしまいます(バラシ)。
以下を目安に、必ず複数サイズの仕掛けを準備しておきましょう。
魚のサイズ別・推奨フックサイズ
- 5cm程度の豆アジ・カタクチイワシ: 2号前後
- 10cm程度の小アジ・小サバ: 3~5号
- 20cm以上の中アジ・サバ: 6号以上
最も確実なのは、釣具店で「今、この辺りで釣れているアジのサイズはどれくらいですか?」と尋ね、店員さんのアドバイスに従って号数を購入することです。プロの情報は非常に価値があります。

ハリスの太さの重要性
ハリスとは、幹の糸(幹糸)から枝分かれして針が付いている糸のことです。このハリスの太さも釣果に大きく影響します。一般的に、ハリスは細い方が水中でのカモフラージュ性が高く、魚に警戒されにくいため食いが良くなる傾向があります。
特に、水の透明度が高い日中の明るい時間帯や、多くの釣り人によって魚がスレている(警戒心が高まっている)人気の釣り場では、ハリスの太さ0.2号の違いが釣果の差として顕著に現れることがあります。もちろん、あまりに細すぎると大きな魚が掛かった際に切られてしまうリスクもありますが、20cm程度までのアジやイワシを狙うのであれば、0.8号~1.5号程度の細いハリスを選ぶのが釣果への近道です。
注意:仕掛けの長さと針数
市販のサビキ仕掛けは全長1.5m以上で6~7本針のものが主流ですが、2m程度の短い竿を使っている場合や、釣りに慣れていない初心者、お子様には長すぎて扱いにくいことがあります。仕掛けが絡まるトラブルが頻発する場合は、思い切って仕掛けをハサミで半分にカットして使うか、元々針の数が3~4本と少ないショートタイプの仕掛けを選ぶと、ストレスなく快適に釣りができます。
釣果が変わる最強サビキ仕掛けの条件
「最強のサビキ仕掛けはどれか」という問いに対する唯一の答えは、「その日の状況に最もマッチしたもの」です。特定の仕掛けが常に最強ということはあり得ません。魚の活性、天候、水の濁り具合、時間帯、場所によって有効な仕掛けは刻々と変化します。釣果を安定させるためには、特徴の異なる複数のタイプの仕掛けを用意し、アタリがなければ積極的に交換していく「ローテーション」の発想が極めて重要です。
サビキ針に付いている疑似餌(ギジ)には、主に「スキン」「魚皮」「トリックサビキ」といった種類があります。それぞれの特徴を深く理解し、戦略的に使い分けることが釣果アップの鍵となります。
スキン系サビキ:全ての基本
ピンクや白の合成ゴム(スキン)が巻かれた、最もオーソドックスなタイプです。これはコマセのアミエビの色や形を模しており、魚に違和感なく食わせることを目的としています。特にアジやイワシ狙いでは、これが全ての基本となり、まず最初に試すべき仕掛けと言えるでしょう。近年では、紫外線に反応して妖しく光る「ケイムラ」加工が施されたものが人気で、特に曇りの日や朝夕のマズメ時、水の濁りが強い状況で効果を発揮することがあります。
魚皮(ぎょひ)系サビキ:食い渋り時の切り札
サバの皮(サバ皮)やニジマスの皮(ハゲ皮)といった本物の魚の皮を使用したタイプです。スキン系に比べて、水中でよりナチュラルな動きとしなやかさ、そして本物の魚皮ならではの独特の光の反射でアピールします。魚の食い気が渋い時や、釣り人が多くてスレた魚に特に効果的です。スキン系でアタリが遠のいた時にこの魚皮系に交換してみると、嘘のように再び釣れ出すことがよくあります。
釣り場に着いたら、まずは定番のピンクスキン系のサビキを試してみましょう。それでアタリが少なければ、ケイムラ系や魚皮系にチェンジしてみるのがおすすめです。このカラーや素材のローテーションを意識するだけでも、何もしない周りの人と大きな差がつきますよ!
トリックサビキ(エサ付け専用):最終兵器
前述の通り、これは疑似餌ではなく、小さな針に直接アミエビを付けて釣るための特殊な仕掛けです。魚が疑似餌を完全に見切っているような「激渋」の状況で圧倒的な効果を発揮します。日中の全く釣れない時間帯や、冬場の低活性時など、「何をやってもダメだ」という時の最終兵器として持っておくと、ボウズ(一匹も釣れないこと)を回避できる可能性がぐっと高まります。
補足:仕掛けのカラー戦略について
スキンや魚皮の色(ピンク、白、緑など)も釣果に影響します。一つの仕掛けに複数のカラーが混ざっている「ボウズのがれ 好き嫌いなしサビキ」のような製品を使い、どの色に魚がよく反応するかをチェックするのも非常に有効な戦略です。アタリが特定のカラーに集中するようなら、その色の単色仕掛けに交換すれば、より効率的に数を伸ばせます。

夜釣りで釣果を出すためのコツ

夜のサビキ釣りは、日中の喧騒から解放され、静かな環境で釣りに集中できる魅力があります。また、日中は警戒して深場にいた大型のアジなどが、夜になるとエサを求めて岸近くまで寄ってくるため、思わぬ大物が釣れるチャンスも秘めています。夜釣りを成功させるための最大のコツは、「光を効果的に利用して魚を寄せ、そして食わせること」です。魚には光に集まる習性(正の走光性)があり、これをうまく利用することで釣果を格段に向上させることができます。
日中とは異なり、闇雲に仕掛けを投入しても魚は寄ってきません。ポイント選びと集魚アイテムの戦略的な活用が、釣果を大きく左右するのです。
狙うべきポイントは「常夜灯」周り
夜釣りで最も手軽かつ効果的なポイントは、漁港などにある常夜灯の明かりが水面を照らしている場所です。光に植物プランクトンが集まり、次にそれを食べる動物プランクトンが集まります。そして、そのプランクトンを食べるために小魚が集まり、さらにその小魚を狙って大型の魚が集まってくるという、完璧な食物連鎖のピラミッドが形成されます。
特に、光が当たっている明るい場所と、影になっている暗い場所の境界線(明暗部)は、フィッシュイーターがエサを待ち伏せしていることが多い一級ポイントです。この明暗部に仕掛けを投入し、コマセを撒いてアジの群れを寄せるのがセオリーです。
集魚ライトとケミカルライトの戦略的活用
常夜灯がない場所や、さらに強力に魚を寄せたい場合には、人工的に光を作り出すアイテムが非常に有効です。
- 集魚ライト(集魚灯):水中に沈めて使用する高輝度のライトです。様々な色のライトがありますが、一般的に青や緑の光は水中での透過率が高く、広範囲から魚を引き寄せる効果があるとされています。
- ケミカルライト(ケミホタル):竿先に取り付けてアタリを見やすくするだけでなく、仕掛けの上部に取り付けて魚にアピールするのにも使います。小さくてもその効果は絶大で、暗い水中で仕掛けの存在を魚に知らせる重要な役割を果たします。

夜釣りのおすすめアイテム
仕掛けに「アジホタル」のような小型の水中ライトを取り付けるだけでも、集魚効果は大きく変わります。また、針自体が夜光(蓄光)タイプになっているサビキ仕掛けも、夜釣りでは非常に有効です。投入前にヘッドライトの光を十分に当ててから使うと、水中で妖しく光り、魚に強くアピールします。
夜釣りの安全対策
夜の釣り場は視界が悪く、日中は何でもなかった場所が思わぬ危険箇所になることがあります。転倒や落水を防ぐため、必ず単独釣行は避け、ライフジャケットとヘッドライトを装着してください。また、漁港は漁師さんの仕事場です。近隣住民の迷惑にならないよう、大きな声を出したり騒いだりするのは厳禁です。安全とマナーを第一に楽しみましょう。

実践的なサビキ釣りで釣れない原因と対策
- 自分だけ釣れない時に見直すポイント
- 釣れる人と釣れない人の決定的な違い
- サビキ釣りでは何分待つのが正解か
- 釣果アップに繋がるアジ釣りのコツ
- サビキ釣りで釣れない原因を知り爆釣へ
自分だけ釣れない時に見直すポイント

「隣の人は入れ食いなのに、なぜか自分だけアタリすらない…」これはサビキ釣りで経験する最も悔しい状況の一つです。仕掛けやエサがほとんど同じでも釣果に大きな差が出る場合、その原因は「タナ(水深)」と「コマセとの同調」という、目に見えない2つの要素にある可能性が極めて高いです。
魚は常に同じ水深を泳いでいるわけではありません。時間帯や潮の状況、天候によって、魚がいる層(タナ)は常に変化します。釣れない時は、まず魚がいるタナを正確に見つけ出し、そこにコマセとサビキ針を完璧に合わせる作業に集中することが、状況を打開する最も確実な方法です。
タナ(魚の遊泳層)を正確に探る
魚の姿が見えない場合、まずは仕掛けを海底まで沈める「底取り」から始めましょう。リールのベール(糸を放出する部分)を開けて仕掛けを落としていくと、スルスルと出ていた糸がフッと止まります。同時に、竿先に感じていた重みが軽くなり、張っていた糸が緩みます。これがオモリが海底に着いた「着底」の合図です。
そこからすぐにリールを1〜2回巻いて、根掛かり(仕掛けが障害物に引っかかること)を防ぎ、まずは海底から1m以内を探ります。アジは底付近にいることが多い魚です。そこでアタリがなければ、さらにリールを2〜3回巻いて中層を、それでもダメなら表層近くと、まるでビルの階層を一つずつ確認するように、徐々にタナを上げて探っていきます。この「探る」作業を丁寧に行うことで、その日のアタリダナ(魚が最もよく釣れる水深)を突き止めることができます。
釣れている人がいたら、「どのくらいの深さで釣れていますか?」と勇気を出して聞いてみるのが一番の近道です。「底からリールを5回巻いたあたりですよ」といった具体的な情報がもらえれば、一気に正解に近づけます。タナの情報を共有するのも、釣り場での大切なコミュニケーションの一つですよ。
コマセと仕掛けを完璧に「同調」させる
正しいタナを見つけても、そこにサビキ針がなければ魚は釣れません。最も重要なのは、カゴから出たコマセの煙幕の中に、サビキ針を紛れ込ませて漂わせる「同調」というテクニックです。
特に潮の流れがある場合、コマセは潮下に流れていきます。魚はその流れていくコマセの帯に沿って集まります。仕掛けを投入した点と、コマセが漂っている点がズレていると、魚はコマセだけを食べてしまい、針には食いつきません。これを攻略するには、潮の流れを読み、コマセが流れていく先を予測して仕掛けをコントロールする必要があります。
【同調の基本テクニック】
- 潮上(潮が流れてくる方向)に仕掛けを投入し、狙いのタナより少し深めに沈める。
- 竿を軽く1〜2回しゃくり、カゴからコマセを出す。
- コマセの煙幕に仕掛けが追いつき、馴染むように、ゆっくりと仕掛けを狙いのタナまで巻き上げながら潮下へ流していく。
この一連の動作を意識するだけで、アタリの数は劇的に変わるはずです。
釣れる人と釣れない人の決定的な違い
サビキ釣りにおいて、常に安定した釣果を出す「釣れる人」と、なかなか釣れない「釣れない人」の間には、使用している道具の価格差以上に、「観察力」「手返しの早さ」「工夫する姿勢」という3つの行動原理に決定的な違いがあります。
これらのスキルは、サビキ釣りに限らず全ての釣りに共通する上達の秘訣です。高価な道具を揃える前に、まずはこれらの意識改革から始めることが、釣果を伸ばすための最短ルートと言えるでしょう。
観察力:周りから正解を盗む
釣れる人は、自分の竿先だけに集中しているわけではありません。常に周りの状況、特に釣れている人がどのような釣り方をしているかを注意深く観察し、ヒントを得ています。
観察すべきポイントリスト
- 仕掛け: どんな種類のサビキを使っているか?(スキン、魚皮、色、針のサイズ)
- タナ: どのくらいの深さで釣っているか?(ウキの位置やリールを巻く回数)
- 場所: 足元か、少し投げているか?堤防のどの位置か?
- 誘い方: 竿をどのように動かしているか?(しゃくりの幅や速さ)
- コマセ: 撒く頻度や量はどれくらいか?
これらの情報を分析し、良いと思った点を自分の釣りに素早く取り入れることで、正解にたどり着くまでの時間を大幅に短縮できます。人の真似をすることは、上達への最も効率的な学習方法です。
手返しの早さ:時合いを逃さない
「手返し」とは、仕掛けを投入し、回収し、エサを詰めて再投入するまでの一連の動作の速さのことです。サビキ釣りのターゲットは回遊魚なので、魚の群れが回ってきた「時合い」は、わずか10分程度で終わってしまうことも珍しくありません。
釣れない人は、アタリがないと竿を放置したり、仕掛けが絡まるなどのトラブル処理に時間をかけがちです。一方、釣れる人は、アタリがなくても常にコマセを撒き続けて魚を寄せ、時合いを逃さないように効率よく釣りを展開します。予備の仕掛けをすぐ使えるように準備しておく、コマセを詰める動作をスムーズにするなど、一連の作業をいかに無駄なく行えるかが、短い時合いで稼げる釣果を大きく左右します。
工夫する姿勢:諦めずに引き出しを試す
アタリが遠のいた時、「今日は釣れない日だ」と諦めてしまうのが釣れない人です。一方で釣れる人は、「なぜ釣れないのか?」を常に考え、状況を打開するために次の一手を試します。
例えば、
- サビキ仕掛けのカラーや種類を変えてみる(カラーローテーション)。
- タナを1mずつ刻んで、もう一度探り直してみる。
- 誘い方を真逆のパターンに変えてみる(大きくしゃくる⇔ゆっくり誘う)。
- コマセの詰め方を変えてみる(固く詰める⇔フワッと詰める)。
このように、常に状況を分析し、自分の持っている引き出しの中から解決策を試す姿勢が、厳しい状況でも価値ある一匹を釣り上げる力に繋がります。
サビキ釣りでは何分待つのが正解か
「仕掛けを投入してから、アタリが来るまで何分くらい待てば良いのか?」という疑問は、特に初心者の方が抱きやすいものです。結論から言うと、サビキ釣りは「待ちの釣り」ではありません。5分も10分も、ただじっと待つことにはほとんど意味がないのです。
サビキ釣りの本質は、コマセを撒いて魚を寄せ、そのコマセの煙幕の中にいる魚にサビキ針を食わせるという、非常に能動的な釣りです。正解は、数分待ってアタリがなければ、一度仕掛けを回収し、コマセを詰め直して再投入すること。この一連の動作をリズミカルに繰り返す「手返し」こそが、サビキ釣りの基本にして極意となります。
なぜなら、カゴから放出されたアミエビの煙幕(匂いと味の帯)は、潮の流れに乗って拡散し、やがて効果が薄れてしまいます。カゴの中のコマセがなくなってしまえば、魚を寄せる効果は失われ、ただの疑似餌を水中に垂らしているだけの状態になります。これでは釣れる確率が著しく低下してしまうのは当然です。
基本的なサイクルの目安
- コマセをカゴに8分目まで詰めて仕掛けを投入する。
- 狙いのタナで竿を軽く1〜2回しゃくってコマセを撒く。
- 仕掛けをコマセに同調させ、30秒~1分程度アタリを待つ。
- アタリがなければ、もう一度軽くしゃくってコマセを出し、再度待つ。
- それでもアタリがなければ、速やかに仕掛けを回収して①に戻る。
このサイクルをテンポよく繰り返すことで、常に自分のポイントにコマセが効いている状態を維持し、いつ魚の群れが回ってきても迎え撃つ準備を整えておくことができます。
しゃくり過ぎに注意
コマセを効かせたいからといって、竿をビシバシと何度も激しくしゃくるのは逆効果です。不自然な動きで魚を散らしてしまう上に、コマセを一気に放出してしまい、肝心な時にカゴが空っぽという事態を招きます。竿を持ち上げるように、ゆっくりとした動作でコマセをポロポロとこぼれさせるイメージが重要です。
補足:回遊待ちの考え方
もちろん、釣り場全体で全く魚が釣れていない時間帯は、魚の群れが回遊してくるのを待つ必要があります。しかし、その「待ち」の時間も、完全に何もしないわけではありません。5分に1回程度はコマセを撒き、いつ群れが来てもいいように「ポイントを育てておく」という意識が重要です。完全に放置する置き竿ではなく、回遊のきっかけを作るために定期的に竿を動かすことが釣果に繋がります。
釣果アップに繋がるアジ釣りのコツ

サビキ釣りのメインターゲットであり、食べても美味しい人気の魚「アジ」。このアジは、いくつかのコツを押さえるだけで格段に釣れやすくなります。アジの習性を深く理解し、それに合わせた「タナ取り」「誘い方」「追い食い」の3つの専門的なポイントをマスターすることが、クーラーボックスを満タンにするための鍵となります。
基本のタナは「底」から徹底的に
アジは、日中や活性が低い時間帯、また大型になるほど海底付近の低い層(タナ)に群れていることが非常に多い魚です。サビキ釣りでアジを狙う場合、まずは必ず一度オモリを海底まで沈め、底から丁寧に釣り始めるのが絶対的なセオリーです。表層や中層にイワシやサバなどの他の魚が見えていても、本命のアジはもっと下にいる可能性が高いと常に意識してください。
海底に着いたら、根掛かり(仕掛けが障害物に引っかかること)を防ぐためにリールを1〜2回巻き、海底から50cm〜1mほど仕掛けを浮かせた状態をキープします。ここがアジを狙う最初のスタート地点であり、最も集中すべきタナです。ここでアタリが出なければ、そこから少しずつタナを上げて探っていきましょう。
誘いは「スローなリフト&フォール」が基本
コマセを撒くために竿を大きく、速くしゃくっている人をよく見かけますが、アジ狙いの場合、それは最もやってはいけない誘い方の一つです。あまり激しく動かすと、アジが警戒してしまい、コマセだけ食べて針を避けるようになります。
アジに対する最も有効な誘いは、竿先をゆっくりと頭上まで持ち上げ(リフト)、そして糸を張ったままゆっくりと竿先を下げていく(フォール)というシンプルな動作です。この動きによって、サビキ針がフワフワと漂い、自然に落下するエサを完璧に演出できます。アタリは、竿先を下げていくフォールの最中に「コツン」と出ることが多いので、集中力を切らさないようにしましょう。
「追い食い」させて数を稼ぐ技術
アジは群れで行動しているため、1匹釣れると周りにはまだたくさんのアジがいます。この習性を利用し、釣果を倍増させるテクニックが「追い食い」です。
最初に「ブルブルッ」という明確なアタリがあっても、そこで慌ててリールを巻いてはいけません。反射的に合わせる(竿をあおる)のも禁物です。そのままのタナをキープしてゆっくりと竿を聞き上げるようにしていると、掛かったアジが暴れることで他のアジの競争心に火がつき、次々と他の針にも食いついてくることがあります。竿先がさらに大きく引き込まれたり、重みがグン、グンと増したりしたら、追い食いの合図です。一度に2匹、3匹と釣り上げることで、短い時合いでも効率よく釣果を伸ばすことができます。
追い食いの注意点
あまり長く待ちすぎると、最初に掛かった魚が外れてしまう(口切れなどでバレる)ことがあります。待つ時間は数秒から長くても10秒程度を目安に、その日の魚の活性を見ながら調整してください。また、大物が掛かった場合は無理せず一匹ずつ確実に取り込みましょう。
サビキ釣りで釣れない原因を知り爆釣へ
この記事では、サビキ釣りで釣れない時に見直すべき様々な原因と、具体的な対策について詳しく解説しました。釣れない状況には必ず理由があり、それを一つずつ潰していくことで、あなたの釣果は必ず向上します。最後に、この記事の要点をリストでまとめます。次の釣行で、ぜひ実践してみてください。

- 釣れない最大の理由は魚が釣り場にいないこと
- 釣行前には釣具店やネットで釣果情報を確認する
- 朝マズメと夕マずめは最も釣れやすいゴールデンタイム
- 潮が動いている時間帯は魚の活性が上がる
- 基本のエサはアミエビで集魚剤を混ぜると効果アップ
- 仕掛けは釣れている魚の口のサイズに合わせる
- ハリスは細い方が魚に警戒されにくい
- 針のカラーや種類を交換するローテーションを試す
- 夜釣りでは常夜灯などの光がある場所を狙う
- 釣れない時はまず魚がいるタナを探すことから始める
- コマセの煙幕とサビキ針を同調させることが重要
- 釣れている人の釣り方を真似するのが上達の近道
- アジを狙うなら基本のタナは底付近
- 竿を激しく動かさずゆっくりと誘う
- 1匹掛かってもすぐ上げず追い食いを狙う
- ゴミは必ず持ち帰りマナーを守って釣りを楽しむ
最後に:マナーを守って楽しい釣りを
釣り場は、漁師さんや地元の方々の生活の場でもあります。ゴミを放置しない、騒音を立てない、駐車ルールを守るといった基本的なマナーは必ず守りましょう。(公財)日本釣振興会が提唱するマナーを参考に、誰もが気持ちよく釣りを楽しめる環境を維持していくことが大切です。