夏の風物詩ともいえるザリガニ釣り。子どもから大人まで手軽に楽しめるアクティビティですが、「そもそも最適なザリガニ釣りの時期っていつなんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。近所で釣りできる場所や、どうせならいっぱいいる場所を探したいものです。また、効果的な釣り方や、ザリガニが最も食いつく餌は何か、活動が活発になる時間帯や好む水深など、気になる点は多いでしょう。さらに、ザリガニがいる川は汚いというイメージの真相や、日本のどの県に多いのか、そして「冬でも釣れますか?」といった素朴な疑問もあります。近年では法律の改正もあり、禁止になるのはいつからなのか、という点も正しく理解しておく必要があります。この記事では、そんなザリガani釣りにまつわるあらゆる疑問に、専門的な視点から分かりやすくお答えしていきます。
- 最適なザリガニ釣りの時期と活動時間帯
- 初心者でも釣果が期待できる場所の見つけ方
- 基本的な釣り方と効果的なエサの選び方
- ザリガニ釣りに関する最新のルールと注意点
ザリガニ釣りの時期と場所選びの基本
- ザリガニがいっぱいいる場所の特徴
- ザリガニが釣りできる場所の具体例
- ザリガニが多い県はどこ?
- ザリガニがいる川は汚いって本当?
- ザリガニが好む水深は?
- ザリガニ釣りは冬でも釣れますか?
ザリガニがいっぱいいる場所の特徴
ザリガニがたくさんいる、いわゆる「爆釣ポイント」にはいくつかの共通した特徴があります。やみくもに探すのではなく、これらの特徴を意識することで、効率的にザリガニを見つけ出すことができます。
最も重要なのは、水の流れが穏やか、またはほとんどない場所であることです。ザリガニは速い流れを嫌うため、池や沼、流れの緩やかな用水路、田んぼの脇にある水路などが絶好の住処となります。
また、ザリガニは臆病な性格で、日中は物陰に隠れていることがほとんどです。そのため、以下のような隠れ家が豊富な場所は、ザリガニが密集している可能性が非常に高いと言えます。
ザリガニが好む隠れ家の例
- 水草が茂っている場所
- 枯れ葉や泥が溜まっている場所
- 石や岩、コンクリートブロックの隙間
- 杭や護岸の影になっている部分
特に、田んぼの近くにある用水路は、稲の成長に必要な水の管理が行われているため、水環境が安定しており、ザリガニにとって格好の繁殖場所となっています。このような場所を見つけたら、ぜひ竿を出してみてください。
ザリガニが釣りできる場所の具体例
ザリガニは非常に身近な生き物で、特別な釣り場に行かなくても、意外なほど多くの場所で見つけることができます。都会でも、少し探せば絶好のザリガニ釣りスポットが見つかることがあります。
「うちの近所にもいるかな?」と思ったら、まずは公園の池や水路をチェックしてみるのがおすすめです。子どもたちが安全に楽しめるように整備されている場所も多く、ファミリーでのザリガニ釣りに最適ですよ。
具体的な釣り場候補
- 公園の池や沼: 多くの公園では、水辺が整備されており、トイレなどの施設も充実しています。水深が浅く、岸からでもザリガニの姿を確認できる場所が多いのが特徴です。
- 農業用水路: 田園地帯を流れる用水路は、ザリガニの宝庫です。ただし、私有地である田んぼに立ち入ったり、農作業の邪魔になったりしないよう、マナーを守って楽しみましょう。
- 流れの緩やかな小川: 川の中でも、流れが滞留しているワンド(川のよどみ)や、岸辺の茂みにはザリガニが潜んでいることが多いです。
場所選びの注意点
安全のため、子どもだけで釣りに行くのは絶対に避けてください。必ず大人が付き添い、特に水辺では子どもから目を離さないようにしましょう。また、立ち入り禁止の看板がある場所や、私有地には絶対に入らないでください。
ザリガニが多い県はどこ?
現在、日本で最も一般的に見られるアメリカザリガニは、1927年にウシガエルのエサとしてアメリカから持ち込まれたものが野生化し、全国に分布を広げました。そのため、「この県にだけ特に多い」というわけではなく、北海道から沖縄まで、全国各地の淡水域に生息しています。
もともとアメリカ南東部が原産のため、比較的暖かい環境を好みますが、環境適応能力が非常に高いため、寒冷な地域でも温泉の排水が流れ込む場所などで定着している例もあります。
日本のザリガニは3種類
ちなみに、日本にはアメリカザリガニの他に、在来種の「ニホンザリガニ」と、同じく外来種の「ウチダザリガニ」が生息しています。ニホンザリガニは北海道と東北の一部にしか生息しておらず、絶滅危惧種に指定されている貴重な生き物です。私たちが普段目にするのは、ほとんどがアメリカザリガニと考えてよいでしょう。
結論として、特定の県を探すよりも、お住まいの地域で前述したような「ザリガニがいっぱいいる場所の特徴」に合致する水辺を探す方が、効率的に釣り場を見つけられます。
ザリガニがいる川は汚いって本当?
「ザリガニは汚い水でも生きられる」というイメージから、ザリガニがいる川=汚い川、と思われがちですが、これは必ずしも正しくありません。
確かにアメリカザリガニは、水質の悪化や低酸素に強い耐性を持っており、他の生き物が生息できないような環境でも生き延びることが可能です。しかし、彼らが好んでそうした環境を選んでいるわけではありません。むしろ、彼らが最も多く生息し、活発に活動するのは、ある程度水が循環し、水質が安定している場所です。
極端に水質が悪い、例えば水の色が濃い灰色やオレンジ色に変色しているような場所では、さすがのザリガニも生息している可能性は低くなります。このような場所は、工場排水や生活排水の影響が強いと考えられ、ザリガニ釣りのポイントとしては不向きです。
逆に言えば、ザリガニがいるということは、メダカやヌマエビ、ヤゴといった他の水生生物も生息できる環境である可能性が高く、多様な生態系が維持されている証拠とも言えるのです。
ザリガニが好む水深は?
ザリガニ釣りをする上で、水深は非常に重要な要素です。ザリガニは、基本的に浅い場所を好みます。
具体的には、水深10cmから60cm程度の場所が最も探しやすいでしょう。特に、子どもと一緒に楽しむ場合は、安全面を考慮して、大人のくるぶしから膝下くらいの水深に絞って探すのがおすすめです。
ザリガニは夜行性で、日中は深い場所や物陰に隠れていることが多いですが、エサを探す際には浅場にも出てきます。水深が浅い場所は、以下の点で有利です。
浅場を狙うメリット
- ザリガニの姿を直接目で見て探せる
- エサをザリガニの目の前に落としやすい
- 万が一、道具を落としても回収しやすい
- 子どもでも安全に楽しめる
水深が1m以上あるような深い場所にもザリガニは生息していますが、姿を見つけるのが困難なうえ、危険も伴います。安全に、そして確実に釣果を上げるためには、「底が見えるくらいの浅瀬」をキーワードに場所を探しましょう。
ザリガニ釣りは冬でも釣れますか?
結論から言うと、冬にザリガニを釣るのは非常に難しいです。
ザリガニは変温動物であり、水温が下がると活動が著しく鈍くなります。一般的に、水温が15℃を下回るようになると活性が低くなり、冬の間は水辺の土手や泥の中に掘った巣穴で冬眠してしまいます。
そのため、冬の間はほとんど姿を見かけることがなくなり、当然ながらエサにも反応しません。ザリガニ釣りが楽しめるのは、彼らが冬眠から覚めて活発に動き出す春から、再び冬眠に入る前の秋までとなります。
ただし、ごく稀に、年間を通して水温が高い温泉地や工場の温排水が流れ込むような特殊な環境では、冬でも活動しているザリガリが見られることがあります。しかし、これは例外的なケースであり、一般的なフィールドでは冬のザリガニ釣りはオフシーズンと考えるのが妥当です。
ザリガニ釣りを楽しむなら、水が温かくなる季節を待ちましょう。
ザリガニ釣りの時期に合わせた実践テクニック
- ザリガニが釣れる時間帯
- ザリガニ釣りの最強の餌とは?
- 簡単なザリガニの釣り方とコツ
- 規制で禁止になるのはいつから?
- まとめ:最適なザリガニ釣りの時期
ザリガニが釣れる時間帯
ザリガニ釣りの釣果は、時期だけでなく時間帯にも大きく左右されます。ザリガニは基本的に夜行性の生き物です。そのため、最も活発にエサを探し回るのは夜間ですが、安全面から夜釣りをすることはおすすめできません。
日中で狙うのであれば、早朝(夜明けから午前9時頃まで)と夕方(午後4時頃から日没まで)がゴールデンタイムです。これらの時間帯は「マズメ時」とも呼ばれ、日中よりもザリガニの警戒心が薄れ、活発に活動するため、釣果が格段に上がります。
特に夏場は、日中の暑さを避ける意味でも、涼しい朝夕の時間帯を狙うのが快適です。熱中症対策にもなりますし、ザリガニの活性も高いので一石二鳥ですよ!
もちろん、日中でも全く釣れないわけではありません。物陰に隠れているザリガニを見つけ、その鼻先にエサをそっと落としてやれば、食いついてくる可能性は十分にあります。ただ、より多くのザリガリを効率よく釣りたいのであれば、朝夕の時間帯を意識して計画を立てるのがベストです。
ザリガニ釣りの最強の餌とは?
ザリガニは雑食性で、基本的に何でも食べますが、釣りのエサとして特に効果が高い、「最強」ともいえるものがいくつか存在します。ポイントは「匂い」と「硬さ」です。
ザリガニは視覚よりも嗅覚でエサを探すため、水中で強い匂いを放つものが非常に効果的です。また、エサが柔らかすぎると、ザリガニがハサミで掴んだ瞬間にちぎれてしまうため、ある程度の硬さも必要になります。
エサの種類 | 匂いの強さ | 硬さ・持ち | 入手しやすさ | 備考 |
---|---|---|---|---|
スルメイカ・アタリメ | ◎ | ◎ | ◎ | 定番中の定番。水中で匂いが広がり、丈夫でエサ持ちも良い。 |
煮干し | ○ | ○ | ◎ | 匂いも強く効果的だが、スルメよりは少し脆い。 |
魚肉ソーセージ | ○ | △ | ◎ | 食いつきは良いが、柔らかいため取られやすい。 |
魚の切り身(サバなど) | ◎ | △ | ○ | 匂いが非常に強く集魚効果は高いが、身が崩れやすい。 |
総合的に見ると、やはり昔からの定番であるスルメイカ(アタリメ)が、匂い・強度・入手しやすさの全てにおいてバランスが取れており、最強のエサと言えるでしょう。コンビニやスーパーで手軽に購入できるのも魅力です。使う前に少し水で濡らしたり、噛んで柔らかくしたりすると、より匂いが出て効果が高まるとも言われています。
簡単なザリガニの釣り方とコツ
ザリガニ釣りは、非常にシンプルな道具と簡単なコツさえ覚えれば、誰でも楽しむことができます。高価な道具は一切必要ありません。
準備するもの
- 竿:その辺に落ちている1m程度の木の棒や枝、園芸用の支柱で十分です。
- 糸:丈夫なタコ糸やビニール紐を1.5mほど用意します。
- エサ:前述のスルメイカなど。
- その他:釣ったザリガニを入れるバケツや透明なケース、ハサミ、軍手やトング(ザリガニを掴むのが苦手な方向け)など。
釣り方の手順とコツ
- 仕掛け作り:竿の先端に糸を固く結びつけ、もう一方の端にエサをしっかりと結びます。エサが浮いてしまう場合は、小さな石を重りとして一緒に結ぶと良いでしょう。
- ポイントに投入:ザリガニが隠れていそうな物陰や穴の近くに、仕掛けをそっと沈めます。
- アタリを待つ:ザリガニがエサに気づくと、ゆっくりと近づいてきてハサミでエサを掴みます。この時、糸がピーンと張るような感触(アタリ)があります。
- 焦らず待つ:ここが最も重要なポイントです! ザリガニがエサを掴んだ直後に引き上げると、驚いてエサを離してしまいます。エサをハサミで掴んでから、自分の隠れ家まで運ぼうとしたり、口元に持っていって食べ始めたりするまで、じっと待ちましょう。
- ゆっくり引き上げる:ザリガニが完全にエサに夢中になったら、ゆっくりと、静かに竿を垂直に引き上げます。
- 網でキャッチ:水面からザリガニが出てきたら、下に網を構えておき、落ちてしまう前にすくい取ります。二人一組で連携すると、成功率が格段にアップします。
慌てないことが最大のコツです。ザリガニとの駆け引きをじっくり楽しむのが、ザリガニ釣りの醍醐味ですね。
規制で禁止になるのはいつから?
ザリガニ釣りを語る上で、現在最も重要なのが法律による規制の問題です。これまで身近な生き物として親しまれてきたアメリカザリガニですが、その強い繁殖力で日本の生態系に大きな影響を与えていることが問題視されていました。
これを受けて、2023年6月1日より、アメリカザリガニは「条件付特定外来生物」に指定されました。これにより、ザリガニの扱いについて新たなルールが定められました。
アメリカザリガニに関する新ルール
簡単にまとめると、以下のようになります。(参照:環境省ウェブサイト)
- OKなこと:
- 許可なく捕まえたり、釣ったりすること。
- その場で観察して、釣った場所に逃がす(リリースする)こと。
- ペットとして飼育するために家に持ち帰ること。
- NGなこと(違反すると罰則の対象):
- 生きたまま、釣った場所以外の川や池に放す(放流する)こと。
- 飼育している個体を、たとえ元の場所であっても野外に放すこと。
- 生きたまま他人に譲ったり、販売したりすること(無償でもNG)。
つまり、「ザリガニ釣りが禁止になった」わけではありません。これまで通りザリガニ釣りを楽しむことはできます。しかし、一度持ち帰ることを決めたら、そのザリガニが死ぬまで責任を持って飼育する義務が生じます。「飼うのが大変になったから逃がす」という行為は、法律違反となるため絶対にやめてください。
このルールを正しく理解し、責任ある行動を心がけましょう。
まとめ:最適なザリガニ釣りの時期
この記事で解説した、ザリガニ釣りに関する重要なポイントを以下にまとめます。これらの要点を押さえて、安全に楽しくザリガニ釣りに挑戦してみてください。
- 最適なザリガニ釣りの時期は水温が高くなる6月から9月
- 冬は冬眠するためザリガニを釣ることはほぼ不可能
- 釣果が期待できる時間帯は早朝と夕方のマズメ時
- 水の流れが穏やかで隠れ家が多い場所が狙い目
- 公園の池や農業用水路が具体的な釣り場としておすすめ
- ザリガニがいる川は必ずしも汚いわけではない
- 狙うべき水深は10cmから60cm程度の浅瀬
- 最強のエサは匂いが強く丈夫なスルメイカ
- 釣り方のコツはザリガニがエサを掴んでも焦らず待つこと
- アメリカザリガニは全国に分布している
- 2023年6月1日から条件付特定外来生物に指定
- ザリガニ釣り自体は禁止されていない
- 釣ったザリガニを別の場所に放流するのは法律違反
- 一度持ち帰ったら最後まで責任を持って飼育する必要がある
- 安全のため子どもだけで釣りには行かず大人が付き添う