アオリイカをはじめとするイカ釣りを楽しむ上で、「どの時間帯に狙えば釣れるのか?」という疑問は、多くのアングラーが抱く永遠のテーマではないでしょうか。エギングで挑戦してみたものの、昼間は全く釣れないという経験をした方もいるかもしれません。実は、イカの釣果は時間帯に大きく左右されるのです。
この記事では、春や秋といったシーズンごとの最適なタイミング、堤防など釣れる場所に応じた時期の選び方を詳しく解説します。さらに、エギングで夜が有利とされる理由や、夜釣りに欠かせないライト、集魚灯の効果的な使い方、そして「イカが好きな光は何色ですか?」といった素朴な疑問にもお答えします。九州のような地域ごとの時期の違いにも触れながら、あなたのイカ釣りライフを成功に導くためのヒントを凝縮してお届けします。
- イカが最も釣れやすい時間帯の具体的なタイミング
- 季節や場所、潮の動きによる釣れる時間の違い
- 夜釣りを有利にするライトやエギの選び方
- 釣果に直結するポイント選びのコツと注意点
イカ釣りの時間帯を知る!釣果を左右する基本
- アオリイカが釣れる時間帯の傾向
- 春と秋で異なる狙い目の時間
- エギングで昼間釣れない理由とは?
- 釣れる場所で変わる潮と時間
- 九州で狙うべき時期と時間帯
アオリイカが釣れる時間帯の傾向
アオリイカを狙う上で、最も釣果が期待できる時間帯は、朝マズメと夕マズメです。これは1日の中でイカの捕食活動が最も活発になる「ゴールデンタイム」と言えます。
その理由は、太陽が昇る直前や沈む直後の光量が少ない時間帯に、イカのエサとなる小魚(ベイト)の活動が活発になるためです。それに伴い、アオリイカも捕食スイッチが入り、積極的にエサを追うようになります。
具体的には、日の出と日没の前後30分から1時間程度が狙い目となるでしょう。夜行性であるアオリイカは夜も活動しますが、完全に真っ暗な時間帯よりも、明るさが変化するマズメ時の方が活性が高まる傾向にあります。このタイミングを逃さずに釣りをすることで、釣果を得られる可能性は格段に上がります。
マズメ時を狙うメリット
マズメ時はイカの警戒心が薄れ、大胆にエギにアタックしてくることが多くなります。普段は反応しないような派手なカラーのエギにも好反応を示すことがあるため、効率よくイカの存在を探ることが可能です。
春と秋で異なる狙い目の時間
アオリイカのエギングは、主に春と秋がメインシーズンとなりますが、それぞれの季節で狙うべき時間帯には違いがあります。
春イカ:マズメ時と夜間がチャンス
春は産卵を意識した大型のアオリイカがターゲットになります。これらの個体は「親イカ」と呼ばれ、2kgを超えるような大物も夢ではありません。しかし、成長して賢くなっているため警戒心が非常に強く、日中の明るい時間帯は深場や障害物の影に隠れていることが多いです。
このため、春イカを狙うのであれば、警戒心が薄れる朝夕のマズメ時や、夜間にシャロー(浅場)へ接岸してくるタイミングが最も効果的です。数は期待しにくいですが、一発大物を狙うスリリングな釣りが楽しめます。
秋イカ:日中でも数釣りが期待できる
一方、秋は春に生まれた新子(しんこ)と呼ばれる小型のアオリイカがメインターゲットです。サイズは300g〜500g程度が中心ですが、好奇心旺盛で警戒心が薄いのが特徴です。
そのため、秋イカはマズメ時はもちろんのこと、天候や潮の条件が良ければ日中でも活発にエギを追ってきます。エギング入門者の方が最初に挑戦するには、最も釣りやすく、数釣りも楽しめるおすすめのシーズンと言えるでしょう。
春は一発大物狙いのロマン、秋は数釣りでワイワイ楽しむ、といったように季節ごとに楽しみ方が異なります。自分のスタイルに合ったシーズンと時間帯を選ぶのが重要ですね。
エギングで昼間釣れない理由とは?
「エギングは昼間だと釣れない」という話をよく耳にしますが、これは完全に釣れないという意味ではありません。正確には、「夜やマズメ時に比べて格段に難易度が上がる」というのが実情です。
昼間に釣れにくくなる主な理由は2つあります。
- イカに見切られやすい
アオリイカは非常に目が良い生き物です。日中の明るい環境では、エギの不自然な動きやラインの存在を簡単に見破ってしまいます。これにより、エギを抱く前に警戒してどこかへ行ってしまうのです。 - 安全な場所に隠れている
日中はイカにとっての外敵である青物などのフィッシュイーターも活発に活動します。そのため、アオリイカは自らの身を守るために、岩場の影や海藻の中、水深のある場所(深場)といった安全な場所に身を潜めている傾向が強くなります。
日中攻略のポイント
日中に釣果を出すためには、イカが隠れていそうな場所をピンポイントで狙う必要があります。具体的には、潮通しの良い場所の地形変化、沈み根(水中の岩)、海藻が密集しているエリア、堤防の基礎部分の影(シェード)などが有望なポイントになります。エギのカラーも派手なものではなく、アジやイワシといったベイトフィッシュに近いナチュラルカラーのエギを選択するのが効果的です。
釣れる場所で変わる潮と時間
イカ釣りの釣果を大きく左右するもう一つの重要な要素が「潮の動き」です。どれだけ良い時間帯に釣りをしても、潮が動いていなければ釣果は期待しにくいでしょう。なぜなら、潮が動くことでプランクトンが流れ、それを食べる小魚が動き、さらにその小魚を捕食するイカの活性が上がるという食物連鎖のスイッチが入るからです。
特に狙い目となるのは、以下のタイミングです。
- 潮が動き始めるタイミング
満潮や干潮で潮が止まっている状態から、動き始める瞬間は絶好のチャンスです。「上げ始め」「下げ始め」と呼ばれ、イカの捕食スイッチが入りやすいと言われています。 - 潮が最もよく動く時間帯
潮見表でいう「大潮」や「中潮」の日は、干満の差が大きく潮がよく動くため、イカの活性も高まりやすいです。釣りの格言で「上げ三分、下げ七分」という言葉があるように、潮が動き始めてから数時間後が狙い目となります。
釣れる場所、例えば潮通しの良い岬の先端や、潮がぶつかり合う潮目ができるようなポイントでは、潮の動きが釣果に直結します。釣行前には必ず潮見表をチェックし、時合(じあい)と潮が動くタイミングが重なる時間帯を狙って計画を立てることが重要です。
潮見表は、気象庁のウェブサイトやスマートフォンのアプリで手軽に確認できます。釣りに行く場所と日付を入力すれば、満潮・干潮の時刻や潮位の変化が分かるので、釣行計画の必須アイテムです。
九州で狙うべき時期と時間帯
九州地方は、対馬海流(黒潮)の影響を受けるため、他の地域に比べて年間を通して水温が高いのが特徴です。このため、アオリイカ釣りのシーズンが長く、冬場でも釣果が期待できる恵まれたエリアと言えます。
九州における時期と時間帯の狙い目は以下のようになります。
シーズンの特徴
- 春シーズン: 他の地域よりも早く、場所によっては2月下旬頃から産卵を意識した大型の親イカが釣れ始めます。ピークは4月〜5月頃で、3kgを超えるような「レッドモンスター」と呼ばれる大型アカイカが混ざることもあります。
- 秋シーズン: 9月頃から数釣りが楽しめるシーズンが始まります。温暖なためイカの成長が早く、秋でもキロアップの良型が狙えるのが魅力です。
- 夏・冬シーズン: 一般的にはオフシーズンとされますが、九州では夏でも深場を狙えば良型が釣れることがあります。また、冬でも水温が15度以下になることが少ないため、水温の安定した深場や、地磯などで越冬する個体を狙うことが可能です。
時間帯の狙い方
時間帯の基本的な考え方は他の地域と同じで、朝夕のマズメ時が最も有望です。特に大型が回遊してくる可能性が高い春シーズンは、マズメ時と潮が大きく動くタイミングを逃さないことが重要になります。夏場の日中は水温が上がりすぎるため、比較的涼しいマズメ時や、水温が少し下がる夜釣りに分があります。
条件別!イカ釣りの時間帯と攻略のコツ
- 堤防で釣れる時期と夜の狙い方
- エギングは夜が有利になる理由
- 夜釣りに必須のライトの選び方
- 集魚灯の効果的な使い方と注意点
- イカが好きな光は何色ですか?
- 最適なイカ釣りの時間帯を見つけよう
堤防で釣れる時期と夜の狙い方
足場が良く、手軽にエントリーできる堤防は、アオリイカ釣りの一級ポイントです。堤防で釣果を上げるためには、適切な時期選びと、特に夜の攻略法が鍵となります。
堤防で釣れる時期
堤防でアオリイカが釣れやすい時期は、やはり春(4月~6月頃)と秋(9月~11月頃)です。春は産卵のために接岸してくる親イカを、秋は堤防周りに着きやすい新子を狙うのがセオリーとなります。堤防の先端は潮通しが良く、回遊してくるイカを狙うのに最適です。また、堤防の基礎部分や、近くにあるテトラポッド、沈み根などもイカが身を寄せる絶好の隠れ家になります。
夜の狙い方:常夜灯の「明暗」を攻める
夜の堤防で最も重要なのが常夜灯の存在です。常夜灯の光には、まずプランクトンが集まり、次にそれを目当てに小魚(ベイト)が集結します。そして、そのベイトを捕食するためにアオリイカが寄ってくるのです。
狙うべきポイントは、常夜灯の光が当たっている「明」の部分と、当たっていない「暗」の部分の境目です。イカは明るい場所でベイトを探し、暗い場所に潜んで獲物を待ち伏せする習性があります。そのため、エギを明るい場所から暗い場所へ、またはその逆へと通すことで、待ち構えているイカにアピールできます。
人気の堤防は、週末やハイシーズンになると多くの釣り人で賑わいます。イカはプレッシャーに弱いため、人が多いとスレてしまい、なかなか口を使わなくなります。先行者がいる場合は、十分に距離を取るなどの配慮を忘れないようにしましょう。
エギングは夜が有利になる理由
エギングにおいて、夜釣りは日中の釣りに比べて多くのメリットがあり、特に大型のアオリイカを狙う上では非常に有利な時間帯と言えます。
夜が有利とされる主な理由は以下の通りです。
- イカの警戒心が薄れる
夜は周囲が暗いため、イカの警戒心が日中よりも格段に薄れます。普段であれば見切られてしまうようなエギの動きやラインの存在にも気づかれにくくなり、大胆にエギを抱いてくる可能性が高まります。 - 大型が活発に動く
前述の通り、大型の個体ほど警戒心が強く、日中は深場に潜んでいることが多いです。しかし、夜になると安心して浅場まで出てきて捕食活動を行うため、岸からでも大型を狙えるチャンスが広がります。 - 光と影でポイントを絞りやすい
常夜灯がある場所では、「明暗の境目」という明確な狙いどころが生まれます。どこを狙えば良いか分からない初心者の方でも、ポイントを絞って効率的に攻めることが可能です。
日中の喧騒から離れ、静かな夜の海でアタリに集中できるのも夜釣りの魅力の一つです。ただし、暗闇での釣りは危険も伴うため、ヘッドライトの着用や足場の確認など、安全対策は万全にして臨みましょう。
夜釣りに必須のライトの選び方
夜のエギングを安全かつ快適に行うために、ライトは絶対に欠かせないアイテムです。特に、両手が自由になるヘッドライトは必須と言えるでしょう。
ヘッドライトを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。
光の色を切り替えられるタイプが便利
夜釣りで使うヘッドライトは、光の色を切り替えられるモデルが非常に便利です。
- 白色光:仕掛けを準備したり、足元を確認したり、釣れたイカを処理したりと、手元で細かい作業をする際に役立ちます。非常に明るいため、安全確保の面でも重要です。
- 赤色光:魚は赤い光を認識しにくいとされています。そのため、水面を直接照らしてもイカにプレッシャーを与えにくいというメリットがあります。頻繁に海面を確認したい場合に有効です。
このように、用途に応じて白色と赤色を使い分けることで、釣果への影響を最小限に抑えつつ、安全に釣りを楽しめます。
その他のチェックポイント
- 光量の調節機能:明るさを何段階かに調節できると、状況に応じて適切な光量を選べるため便利です。
- 防水性能:突然の雨や波しぶきに備え、防水性能の高いモデルを選んでおくと安心です。
- バッテリーの持続時間:一晩中釣りをする可能性も考慮し、バッテリーが長持ちするものや、予備の電池を持参することをおすすめします。
集魚灯の効果的な使い方と注意点
集魚灯は、その名の通り、光で魚(ベイト)を集め、結果的にイカをポイントに寄せるための強力なアイテムです。正しく使えば大きな効果を発揮しますが、使い方を誤ると逆効果になったり、周囲に迷惑をかけたりすることもあるため注意が必要です。
効果的な使い方
集魚灯の目的は、プランクトンを集め、小魚を寄せ、イカを呼び込むという食物連鎖を人工的に作り出すことです。そのため、闇雲に海を照らせば良いというわけではありません。
光を水中に向かって直接照射するのではなく、自分の立ち位置から少し離れた海面を広くぼんやりと照らすように設置するのがコツです。これにより、自然な形でベイトが寄り付き、その周辺にイカが集まるようになります。そして、その集魚灯が作り出した「明暗の境目」を狙ってエギを通すのが効果的な攻め方です。
周囲の釣り人への配慮を最優先に
集魚灯の光は非常に強力なため、周りに他の釣り人がいる場合は、その人の迷惑にならないか最大限の配慮が必要です。無断で強力な光を照らすと、他の人のポイントを台無しにしてしまう可能性があります。使用する前には必ず周囲に一声かけるのがマナーです。また、漁港などでは集魚灯の使用が禁止されている場合もあるため、事前にルールを確認しましょう。
イカが好きな光は何色ですか?
「イカは何色の光が好きのか?」という疑問は、夜釣りや集魚灯を語る上でよく話題に上ります。結論から言うと、イカは「色」を識別できない、つまり色盲であるという説が現在では有力です。
しかし、イカが光に全く反応しないわけではありません。色として認識はできなくても、光の「波長」や「明るさ」の違いは感じ取っていると考えられています。一般的に、夜釣りで有効とされる光の色には以下のような傾向があります。
光の色 | 特徴と傾向 |
---|---|
青色・緑色 | 水中で光が遠くまで届きやすい(透過率が高い)とされています。そのため、プランクトンや小魚が集まりやすく、結果的に集魚効果が高いと言われることが多いです。 |
白色 | 最も明るく、様々な波長の光を含んでいます。ベイトを集める効果は高いですが、明るすぎるためイカに警戒心を与えてしまう可能性もあります。 |
その他 | イカ自身がコミュニケーションのために発光することから、それに近い色の光に興味を示すという説もあります。 |
このように、特定の色が絶対的に釣れるというわけではなく、その日の海の状況やイカの活性によって反応は変わります。もし複数の色のライトをお持ちであれば、状況を見ながら色を変えてみて、イカの反応を探ってみるのも面白いでしょう。
最適なイカ釣りの時間帯を見つけよう
この記事では、イカ釣りの釣果を左右する時間帯について、様々な角度から解説しました。最後に、重要なポイントをリストでまとめます。
- イカが最も釣れる時間帯は朝マズメと夕マズメ
- マズメ時はイカの捕食スイッチが入りやすく警戒心も薄れる
- 春の親イカは警戒心が高くマズメ時や夜間が狙い目
- 秋の新子は好奇心旺盛で日中でも数釣りが期待できる
- 日中に釣れにくいのはエギを見切られやすくイカが隠れているため
- 潮の動きは釣果に直結し動き始めや活発な時間帯がチャンス
- 潮見表を確認して時合と潮のタイミングを合わせることが重要
- 九州などの温暖な地域はシーズンが長く冬でも釣果が期待できる
- 堤防は手軽な一級ポイントで春と秋がメインシーズン
- 夜の堤防では常夜灯が作り出す明暗の境目を狙うのがセオリー
- 夜釣りは大型が狙えイカの警戒心が薄れるため有利
- 夜釣りには安全確保のためヘッドライトが必須
- ライトは作業用の白色光とプレッシャーを与えにくい赤色光の切り替え式が便利
- 集魚灯は使い方次第で強力な武器になるが周囲への配慮が不可欠
- イカは色盲とされ特定の色を好むわけではないが光の波長には反応する