日本有数のトラウトフィッシングの聖地として知られ、多くの釣り人が憧憬の念を抱く栃木県・中禅寺湖。標高1,269mという日本一の高さを誇る湖には、ここでしか出会えない貴重な魚たちが数多く生息しています。「一度はこの聖地で竿を出してみたい」と夢見るアングラーも多いのではないでしょうか。しかし、実際に釣行計画を立てる段階になると、中禅寺湖の釣り料金は一体いくらなのか、遊漁券の販売はどこで、何時から行っているのか、といった現実的な疑問が次々と浮かび上がります。結局のところ、駐車場や必要であればレンタルボート代も含めて、釣りをするにはいくらかかるのか、その総額が最も気になるところでしょう。また、利便性の面から遊漁券はコンビニで購入できるのか、という点も重要です。さらに、釣りを満喫するためには、守るべき釣りのルールや、持ち帰りが禁止されてる魚種はあるのか、そして具体的にどんな魚が釣れるのか、実績の高いおすすめのポイントはどこなのか、といった情報は欠かせません。少し専門的な話になりますが、漁業権を取るにはいくらかかるのか、という仕組みに興味を持つ方もいるかもしれません。この記事では、そんなあなたのあらゆる疑問に、詳細かつ丁寧にお答えします。2025年の最新情報と信頼できる情報源を基に、中禅寺湖の釣りに関する費用から厳格なルール、そしてこのフィールドを最大限に楽しむための方法まで、必要な情報を網羅的に、そして深く掘り下げて解説していきます。
この記事で分かること
- 中禅寺湖の釣りで必要な料金の総額が分かる
- 遊漁券の購入方法やルールが詳しく理解できる
- 駐車場やレンタルボートなど付帯情報が分かる
- 釣れる魚やおすすめのポイントが把握できる
最新版!中禅寺湖の釣り料金を徹底解説
- 釣りをするにはいくらかかる?総額の目安
- 遊漁券の販売場所と時間について
- 遊漁券はコンビニで購入できる?
- 中禅寺湖で釣れる魚の種類一覧
- ボートのレンタル料金と予約方法
- 有料化された駐車場の場所と料金
釣りをするにはいくらかかる?総額の目安

中禅寺湖での釣りを計画する上で、最も重要なのが「結局、1日の釣行で総額いくらかかるのか?」という予算感でしょう。この費用は、選択する釣りのスタイル、つまり「岸釣り」か「船釣り」か、また食事や交通手段をどうするかによって大きく変動します。ここでは、最も一般的な日帰り釣行を想定し、それぞれのスタイルで必要となる費用の内訳と合計金額のモデルケースを、より具体的にご紹介します。
岸釣りの場合(日帰りモデル)
岸からルアーやフライをキャストしてトラウトを狙う、最もポピュラーで手軽なスタイルです。広大な湖岸線を歩きながら、刻々と変わる状況に対応していく楽しみがあります。
項目 | 料金目安 | 備考 |
---|---|---|
遊漁料(日釣券) | 2,700円 | 全魚種対象。6回分の料金で1回分お得になる回数券(13,500円)もあり。 |
駐車場代 | 1,000円 | 県営駐車場を6時間以上利用した場合。早朝利用は割増の可能性あり(後述)。 |
交通費 | 変動 | 出発地による(例:都内から高速道路利用で往復約5,000円~8,000円)。 |
食費など | 2,000円~ | 昼食や飲み物代。地元の飲食店を利用するか、持参するかで変動。 |
合計目安 | 約10,700円~ | これに加えてルアーやラインなどの消耗品代がかかります。 |
岸釣りの場合、最低でも10,000円から13,000円程度の予算を見込んでおくと安心です。もちろん、一般道を利用したり、食事を完全に持参したりすることで、ここからさらに費用を抑えることも可能です。逆に、釣行後に温泉に立ち寄るなど、プラスアルファの楽しみを追加すれば、費用は上がります。
船釣りの場合(日帰りモデル)
レンタルボートを利用し、岸からはアプローチできない沖のブレイクラインやストラクチャーを狙うスタイルです。機動力を活かして広範囲を探れるため、より大型のトラウトとの遭遇率が高まります。その分、費用は岸釣りに比べて高くなります。
項目 | 料金目安 | 備考 |
---|---|---|
遊漁料(日釣券) | 2,700円 | 岸釣りと同額。船釣りの解禁は4月20日から。 |
レンタルボート代 | 7,000円~13,000円 | エンジン付きボートの一般的な料金。2名で乗船すれば費用を分担できます。 |
駐車場代 | 1,000円 | 県営駐車場を6時間以上利用した場合。 |
交通費 | 変動 | 出発地による。 |
食費など | 2,000円~ | 湖上で食事をとる場合は持参が基本。 |
合計目安 | 約17,700円~ | ボート店によっては別途燃料代が必要な場合もあります。 |
【ポイント】
船釣りは一見すると高額に感じられますが、友人など2名で乗船すれば、ボート代を折半できるため一人当たりの負担を軽減できます。何より、岸釣りでは味わえないダイナミックな釣りが展開できるのが最大の魅力です。特に、魚の居場所が絞りにくいシーズン初期や、広範囲に散らばる魚を探す際には、その機動力が大きなアドバンテージとなります。
これらのモデルケースは、あくまで基本的な費用の目安です。中禅寺湖にどっぷりハマったベテランアングラーの中には、回数券を駆使し、食事はカップラーメンで済ませ、車中泊で交通費を浮かせる…なんて猛者もいます。自分のスタイルに合わせて、賢く予算を組み立てるのも釣りの楽しみの一つですよ。
遊漁券の販売場所と時間について

中禅寺湖で釣りを行うためには、法令で定められた遊漁券(正式名称:遊漁承認証)の購入が絶対条件です。この遊漁券を持たずに釣りをした場合、漁業法および県の漁業調整規則に基づき、密漁とみなされる可能性があります。その場合、漁場指導員から本来の遊漁料に加えて高額な附加料金(現場売り料金として倍額)を請求されるだけでなく、悪質な場合は罰則の対象となることもありますので、必ず正規の方法で購入してください。
遊漁券は、湖畔に古くから営業している以下の2つの指定取扱所でのみ、購入が可能です。
- 大島商店(TEL: 0288-55-0022)
- 民宿 越後屋(TEL: 0288-55-0708)
両店ともに、釣り人の熱意に応えるべく、トラウトシーズンの営業期間中は基本的に早朝3時から営業を開始します。これにより、夜明けとともに始まるゴールデンタイム「朝マズメ」を逃すことなく、万全の準備で釣りに臨むことができます。
【解禁日周辺の特別販売時間に注意】
シーズンの中でも特に釣り人が集中する解禁日周辺は、販売時間が特別スケジュールになります。例えば、岸釣り解禁日の前日(3月31日)は午前10時から当日まで随時発売、船釣り解禁日の前日(4月19日)は午前10時から午後8時まで、当日は午前3時から発売、といった具合です。これらの情報は年によって微調整される可能性があるため、釣行前には中禅寺湖漁業協同組合の公式サイトで最新情報を確認することが非常に重要です。
購入をスムーズに行うための手順と注意点
特に解禁日や連休中は、早朝から多くの釣り人が遊漁券を求めて列を作ります。少しでもスムーズに購入を済ませるために、以下の点に留意してください。
まず、両店のシャッター前には、営業開始前から「日釣券申込書」が用意されています。この申込書に、氏名、住所、連絡先などの必要事項を事前に記入しておくことで、受付での手続き時間を大幅に短縮できます。ハイシーズンには、この一手間がポイントへの到着時間を左右することもありますので、ぜひ実践してください。
【重要な注意点】
・中禅寺湖漁業協同組合の事務所では、原則として解禁前日と当日の遊漁券販売は行っていません。「漁協に行けば買えるだろう」と直接事務所を訪ねても対応してもらえないため、必ず上記2つの取扱所のいずれかで購入してください。
・夏季(7月1日~9月18日)には定休日が設定されています。毎週水曜日は「民宿 越後屋」が、毎週木曜日は「大島商店」が定休日となります。釣行計画を立てる際は、訪れる曜日と営業状況を事前に確認しておかないと、遊漁券が買えないという最悪の事態になりかねません。
遊漁券はコンビニで購入できる?
現代の釣りにおいては、24時間営業のコンビニエンスストアで手軽に遊漁券を購入できる河川や湖が増えてきており、その利便性は非常に高いものがあります。しかし、中禅寺湖の遊漁券に関しては、残念ながらコンビニで購入することは一切できません。
他の釣り場、例えば近隣の鬼怒川漁協などでは、一部コンビニでの取り扱いやオンライン販売システムを導入していますが、中禅寺湖の場合は長年の伝統と管理体制から、購入方法が限定されています。購入方法は、前述の通り、湖畔に位置する「大島商店」または「民宿 越後屋」という2か所の指定取扱所での対面販売のみとなっています。この事実は、特に遠方から初めて訪れる方や、他の釣り場のシステムに慣れている方ほど見落としがちなポイントです。
「現地に着いてから近くのコンビニで買えばいいや」と考えていると、いざ釣りを始めようという段階で遊漁券が手に入らず、貴重な朝マズメの時間を無駄にしてしまう可能性があります。釣行計画を立てる際には、「遊漁券は早朝に指定の場所でしか買えない」という事実を、移動時間やスケジュールにしっかりと組み込んでおく必要があります。
確かに不便に感じるかもしれませんが、これも中禅寺湖の歴史と格式の一部と捉えることもできます。早朝、静かな湖畔で申込書を書きながら夜明けを待つ時間も、非日常的な体験として思い出深いものになるはずです。将来的には、時代の流れとともにオンライン販売などが導入される可能性も否定できませんが、2025年時点では、この伝統的なスタイルが唯一の方法であることをご理解ください。
中禅寺湖で釣れる魚の種類一覧

中禅寺湖が「鱒釣りの聖地」と称される最大の理由は、その魚種の豊富さと魚体のクオリティにあります。冷たく清らかな水質と、最大水深163mという変化に富んだ地形が、多種多様なトラウト(マス類)の生息を可能にしています。アングラーたちが情熱を注ぐ、中禅寺湖のスターフィッシュたちをご紹介します。
主なターゲットフィッシュ
- レイクトラウト (Lake Trout): 学名をSalvelinus namaycushといい、日本では中禅寺湖にのみ生息が確認されている、まさにこの湖の象徴です。イワナの仲間で、大きいものではメーターオーバー、体重10kgを超える巨大な個体も釣り上げられています。その幻想的な姿とパワフルなファイトは、多くのアングラーにとって生涯の目標となっています。
- ブラウントラウト (Brown Trout): ヨーロッパ原産のマスで、その警戒心の強さと狡猾さから、非常にゲーム性が高いターゲットとして人気を博しています。特に夕暮れ時に岸際を回遊する大型ブラウンは、多くの釣り人を熱くさせます。
- ホンマス (Honmasu): 正式には琵琶湖原産のビワマス(Oncorhynchus masou rhodurus)が移植されたものとされています。銀白色に輝く美しい魚体が特徴で、その上品な味わいから食用のターゲットとしても非常に価値が高い魚です。
- ニジマス (Rainbow Trout): 定期的な放流によって魚影が濃く、比較的釣りやすい魚種の一つです。しかし、中禅寺湖の厳しい自然環境で育ったニジマスは、管理釣り場のそれとは比較にならないほど引きが強く、美しい魚体に成長します。スチールヘッドと呼ばれる降海型の個体も存在します。
- ヒメマス (Sockeye Salmon): 陸封型のベニザケで、プランクトンを主食としています。秋になると、オスは真っ赤な婚姻色に染まり、その姿は圧巻です。2017年から持ち帰りが可能となり、その美味しさから専門に狙う釣り人も少なくありません。
- その他の魚種: 上記の主要5魚種に加え、日本在来種のイワナや北米原産のブルックトラウトなども生息しています。個体数は少ないですが、思わぬサプライズとしてアングラーを楽しませてくれます。
【多様性の奇跡】
これほど多種多様な大型トラウトが、一つの湖という閉鎖された環境の中で共存し、独自の生態系を築いていることこそ、中禅寺湖が唯一無二のフィールドである所以です。季節や天候、時間帯、そして狙うポイントによって、ヒットしてくる魚種が異なるため、アングラーは常に状況判断を迫られます。この奥深さが、釣り人たちを何度でもこの湖へと駆り立てるのです。
また、トラウトフィッシングのシーズンが終わる9月20日からはワカサギ釣りが解禁され、秋の紅葉シーズンには多くの家族連れや釣り愛好家で賑わいを見せ、湖はまた違った表情を見せます。

ボートのレンタル料金と予約方法

広大な中禅寺湖のポテンシャルを最大限に引き出すためには、レンタルボートの活用が極めて有効な戦略となります。岸からでは到底届かない沖の深場や、地形変化に富んだ岬の先端などをダイレクトに攻めることができるため、釣果、特に大型魚との遭遇率を格段に高めることが可能です。中禅寺湖では、歴史ある民宿や専門のボートハウスが各種レンタルボートを用意しています。
料金はボートの種類や業者によって異なりますが、一般的な料金相場は以下の通りです。
ボートの種類 | 料金相場(1日) | 特徴と主な用途 |
---|---|---|
手漕ぎボート | 3,000円 ~ 4,000円 | エンジン音がなく、静かにポイントにアプローチしたい場合に最適。秋のワカサギ釣りでも主力となります。体力は必要です。 |
エンジン付きボート | 7,000円 ~ 14,000円 | 高い機動力で広大な湖を効率的に探れます。トローリング(ひき縄釣り)や、ポイントを次々と移動するランガンスタイルに必須です。 |
スワンボートなど | 1,500円~(30分) | 純粋な観光目的の足漕ぎボートです。安定性が低く、釣具の積載も難しいため、釣りでの利用は現実的ではありません。 |
予約の必要性とベストなタイミング
予約システムについては、業者によって対応が異なりますが、多くの場合、予約なしでも空きがあれば乗船することは可能です。しかし、「予約しておくこと」を強く推奨します。なぜなら、解禁直後の週末、ゴールデンウィークや夏休み、紅葉が見頃となる秋の連休など、釣り人や観光客が集中する日は、早朝のうちに全てのボートが出払ってしまうことも珍しくないからです。
特に、馬力があり安定性の高いエンジン付きボートは、ベテランアングラーからの人気が非常に高く、ハイシーズンは予約で数週間先まで埋まっていることもあります。「現地に行けば何とかなるだろう」という考えは捨て、釣行の日程が確定した段階で、できるだけ早く希望のボート店へ電話で予約状況を確認し、確保しておくのが賢明です。「せっかく遠方から来たのに、ボートがなくては話にならない」という最悪の事態を避けるためにも、事前の準備を怠らないようにしましょう。
初めてボートを借りる際は、少し緊張するかもしれませんが、心配は無用です。出船前に、スタッフの方がエンジンの始動方法や操船のコツ、湖上のルール、風が強くなった場合の注意点、危険な浅瀬のエリアなどについて、丁寧にレクチャーしてくれます。分からないことは遠慮せずに質問し、安全第一で湖上の釣りを楽しんでくださいね!
有料化された駐車場の場所と料金

かつては無料で利用できた中禅寺湖畔の駐車場ですが、釣りシーズンの慢性的な満車状態や、観光客との利用競合といった問題を解消するため、栃木県の決定により2024年4月1日から一部の県営駐車場が有料化されました。これにより、釣り人のコスト負担は増えましたが、駐車スペースを確保しやすくなった側面もあります。釣行の際には、この変更点を正確に理解しておく必要があります。
有料化の対象となった、特に釣り人が利用頻度の高い主要な駐車場は以下の通りです。
主な有料駐車場
- 歌ヶ浜第一駐車場:山側ポイントへのアクセス拠点。
- 歌ヶ浜第二駐車場:同上。収容台数が多い。
- 湖畔第一駐車場(旧称:赤鳥居駐車場):国道側ポイントに近く、利便性が高い。
料金体系の詳細
料金はシンプルな時間制で、多くの釣り人が該当するであろう6時間以上の長時間利用では1,000円となります。
利用時間 | 料金 |
---|---|
6時間まで | 500円 |
6時間以上 | 1,000円 |
【最重要注意点:釣り人を悩ませる「午前4時リセット」問題】
中禅寺湖の有料駐車場システムで、絶対に知っておかなければならないのが、料金の日付変更時刻、いわゆる「リセット時刻」が一般的な深夜0時ではなく「午前4時」に設定されているという点です。
中禅寺湖のトラウトフィッシングの遊漁開始時刻は、多くの期間で午前4時と定められています。人気ポイントを確保するため、多くの熱心な釣り人はそれより前の午前2時や3時に駐車場に入り、準備を始めます。しかし、この行動が思わぬ追加料金を生むのです。
例えば、午前3時に車を停めて釣りを開始し、昼過ぎまで利用したとします。この場合、駐車時間は午前3時から4時までの1時間分と、午前4時以降の長時間利用分が合算され、「500円(1時間分)+1,000円(6時間以上分)=1,500円」という料金が請求される可能性があるのです。これは、システム上は2日分の料金を支払っていることになります。
この「午前4時リセット」は、実質的に早朝から活動する釣り人にとっては大きな負担増となります。釣行予算を組む際には、この特殊な課金システムを必ず念頭に置き、場合によっては1,500円の駐車料金がかかるものとして計画を立てる必要があります。
中禅寺湖の釣り料金以外の重要情報
- 覚えておきたい釣りのルールとマナー
- 持ち帰りなど禁止されてることは?
- おすすめの釣りポイントを紹介
- 漁業権を取るにはいくらかかるの?
覚えておきたい釣りのルールとマナー
中禅寺湖は、日光国立公園内の特別な自然環境であり、その貴重な魚類資源を未来永劫にわたって維持するために、詳細かつ厳格な遊漁規則が定められています。これらのルールを遵守することは、釣り人としての最低限の責務です。最高のフィッシング体験は、ルールとマナーの理解から始まります。ここでは、特に重要となる基本的な規則を深掘りして解説します。
遊漁期間と時間の厳守
釣りが許可されている期間や時間は、対象魚種や釣り方によって明確に区別されています。この時間を無視した釣りは、監視員による指導の対象となります。
釣り方 | 期間 | 時間(シーズンにより変動) |
---|---|---|
岸釣り | 4月1日 ~ 9月19日 | 解禁日: 5時~18時 4/2~5/14: 4時~18時 5/15~7/31: 4時~19時 (延長期間) 8/1~9/19: 4時~18時 |
船釣り | 4月20日 ~ 9月19日 | |
ワカサギ釣り | 9月20日 ~ 10月31日 | 8時~16時 (組合が定めた場所のみ) |
特にトラウトシーズン中の遊漁時間は、日の出・日の入りの時間に合わせて細かく変動します。夏の最も日が長い時期(5月15日~7月31日)には午後7時まで楽しめますが、それ以外の期間は午後6時までとなります。終了時間間際には漁協の監視船が湖上を巡回し、時間厳守を呼びかけますので、余裕を持って片付けを始めましょう。
タックル(釣具)と漁法の制限
資源保護の観点から、使用できる釣具や漁法には制限が設けられています。
- 竿の本数: 岸からの釣りの場合は1人につき竿2本以内、船からの釣りの場合は、トローリング(ひき縄釣り)を含め、1隻につき竿4本以内と厳格に定められています。これ以上の竿を出すことはできません。
- 漁法: 中禅寺湖のトラウトを狙う場合、そのゲーム性を尊重し、ルアーフィッシングまたはフライフィッシング(毛鉤釣り)のみが認められています。ミミズやブドウムシなどの生きエサや、撒き餌を使った釣りは、トラウトを対象とする場合は禁止です。(※ワカサギなどの雑魚釣りに限り、手釣りや竿釣りでのエサ釣りが認められています)
- キャッチ&リリース区域のルール: 持ち帰りが可能な魚種であっても、釣った魚をその場で再放流する「キャッチ&リリース」を前提とする場合、魚へのダメージを最小限に抑えるため、カエシ(バーブ)のない釣り針の使用が義務付けられています。
【釣り人としての基本的なマナー】
規則には明記されていなくとも、守るべき大切なマナーがあります。
・挨拶と距離感: 先行者がいるポイントに入る際は、「隣、よろしいですか?」と必ず一声かけましょう。お互いのキャスト範囲を邪魔しないよう、最低でも10m~20mは距離を保つのが暗黙のルールです。
・ゴミ問題: 発生したゴミ(ラインの切れ端、ルアーのパッケージ、飲食物の容器など)は、絶対にその場に捨てず、すべて持ち帰ってください。美しい景観と環境を守るための鉄則です。
・遊漁券の装着: 購入した遊漁券は、帽子やフィッシングベストの背面など、漁場指導員から見て分かりやすい場所に必ず装着してください。これは、正規に料金を支払った証明であると同時に、釣り人としての自覚を示す証でもあります。
これらのルールとマナーは、中禅寺湖という素晴らしいフィールドを、利用者全員で守り、未来へと引き継いでいくために不可欠な約束事です。
持ち帰りなど禁止されてることは?
中禅寺湖では、2011年の東日本大震災に起因する福島第一原子力発電所事故の影響を考慮し、釣魚の安全性を確保するため、長年にわたりマス類の持ち帰り(キープ)が厳しく制限されてきました。しかし、その後の継続的なモニタリング調査により、魚体に含まれる放射性物質の数値が国の定める基準値を大幅に下回り、安全であることが科学的に確認されたことから、段階的に規制が緩和されています。
そして、2025年4月のシーズン解禁からは、これまでの規制を大きく転換する、画期的なルール変更が施行されますので、釣行を計画している方は必ずその内容を正確に把握しておく必要があります。
【2025年からの主な変更点:マス類持ち帰り全面解禁へ】
原則として、ヒメマス、ホンマス、ニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウトなど、全てのマス類の持ち出し(キープ)規制が解除されます。
これにより、釣り上げたトラウトを、国の定める基準値に基づき安全性が確認された食材として、持ち帰って賞味することが可能になります。(出典:厚生労働省「食品中の放射性物質の基準値について」)
ただし、この全面解禁は無条件なものではなく、貴重な魚類資源を保護するための重要な制限事項が付帯します。
持ち帰りに関する厳格なルール
持ち帰りが可能になったからといって、無制限にキープできるわけではありません。以下のルールを必ず遵守してください。
- 特定外来生物の生きたままの持ち出し禁止: 中禅寺湖に生息する魚のうち、レイクトラウトとブラウントラウトは、日本の生態系に影響を与える可能性があるとして外来生物法で「特定外来生物」に指定されています。これらの魚種を生きたまま湖の外へ持ち出すことは、法律で固く禁止されています。持ち帰る際は、必ずその場で速やかに締め、鮮度を保つために氷の入ったクーラーボックスなどで保管してください。
- 全長(サイズ)制限: 将来の資源を育むため、小型魚の保護が義務付けられています。ヒメマス、ホンマス、ニジマス、レイクトラウトなど主要なマス類は、全長20cmに満たない個体は、速やかに優しくリリース(再放流)しなければなりません。
- 尾数制限: 乱獲を防ぎ、資源を持続的に利用するため、魚種ごとに1日に持ち帰ることができる上限数(尾数)が定められる場合があります。この詳細な尾数制限については、シーズン開幕前に中禅寺湖漁業協同組合の公式サイトで正式に公示されますので、釣行前に必ず確認してください。
【注意:常に最新情報の確認を】
遊漁規則、特に魚の持ち帰りに関するルールは、魚類資源のモニタリング結果や生態系の状況に応じて、将来的に見直される可能性があります。一度覚えたルールが永遠に続くとは限りません。釣り人としての責任として、釣行前には必ず中禅寺湖漁業協同組合の公式サイトを訪れ、最新の公式な遊漁規則PDFに目を通す習慣をつけてください。これが、フィールドと末永く付き合っていくための最も重要な作法です。

おすすめの釣りポイントを紹介
周囲約25km、最大水深163mという壮大なスケールを誇る中禅寺湖には、地形や水深、流れ込みの有無など、それぞれに特徴を持つ数多くの実績ポイントが存在します。ここでは、アングラーの間で長年評価の定まっている代表的なポイントを、アプローチのしやすさから「国道側エリア」と「山側エリア」の2つに大別して、その特徴とともに詳しくご紹介します。
国道側エリア(アクセスの良さと実績を両立)
国道120号線に面しており、車でのアクセスが非常に容易なのが最大のメリットです。駐車場からポイントまでが近く、初心者や体力に自信のない方でも安心してエントリーできます。その手軽さから常に釣り人の姿はありますが、魚の回遊ルートにもなっており、一級の実績を誇ります。
- 大尻(おおじり): 華厳の滝へと水が流れ出す、湖の東端に位置するエリア。全体的に水深は浅めですが、春先には越冬のために深場から差してきたワカサギなどのベイトフィッシュが溜まりやすく、それを捕食するために大型のトラウトが積極的に回遊してきます。トイレや売店も近く、ファミリーにも安心のポイントです。
- 13番別荘地: 国道側の西端、禁漁区域の境界線付近に位置するポイント。岸から少し投げただけで急激に水深が落ち込む「ブレイクライン」が近く、深場を好む大型のヒメマスやレイクトラウトの実績が非常に高いことで知られています。熟練したアングラーが多く集まる人気ポイントです。
- 国道沿いの各所(丸山駐車場前、ポンプ小屋前など): 国道沿いには、駐車スペースからすぐに湖岸へ下りられるポイントが点在しています。特に目立った地形変化はありませんが、湖全体が魚の回遊ルートになっているため、タイミング次第では思わぬ大物との出会いがあります。ランガン(Run & Gun)で効率よく探るのに適しています。
山側エリア(静寂と大物を求める健脚者向け)
国道側の対岸に位置し、歌ヶ浜駐車場などに車を停め、そこから整備された遊歩道を歩いてアクセスする必要があります。ポイントまで30分以上歩くことも珍しくなく、相応の体力と装備が求められます。しかし、その労力に見合うだけの価値があり、釣り人が少なくプレッシャーが低いこと、そして手付かずの自然の中で静かに釣りができるのが最大の魅力です。熊の出没情報もあるため、熊鈴の携帯は必須です。
- イタリア大使館記念公園前: 湖が内側に深く入り込んだワンド(湾)状の地形で、強い西風を避けやすいのが特徴です。穏やかな水面で繊細な釣りを展開しやすく、特にフライフィッシングのエキスパートに人気の高いポイントです。
- 八丁出島(はっちょうでじま): 中禅寺湖の南岸から斧のように大きく突き出た半島状の地形で、湖流が常に当たるため「水通し」が抜群に良いことで知られています。ベイトフィッシュが溜まりやすく、それを求めて回遊してくる超大型のレイクトラウトを狙うアングラーたちが足繁く通う、中禅寺湖を代表する一級ポイントです。
どのポイントを選ぶかは、その日の風向き、天候、時間帯、そしてあなたが「どんな魚を」「どのように釣りたいか」によって大きく変わってきます。最初の釣行では、まずアクセスしやすく情報も多い国道側で湖の雰囲気を掴み、経験を積んでから、装備を整えて憧れの山側にチャレンジしてみる、というステップアップが王道かもしれませんね!

漁業権を取るにはいくらかかるの?
釣りの世界に深く関わっていくと、「漁業権」という少し専門的な言葉を耳にする機会があります。この言葉の響きから、あたかも特別な権利を購入すれば、自由に釣りができるかのように誤解されているケースが散見されますが、これは一般の釣り人が普段購入している「遊漁券」とは全く性質の異なるものです。
結論を明確に申し上げると、レジャーやスポーツとして釣りを楽しむ一般の釣り人が「漁業権」を取得したり、購入したりすることは通常ありませんし、その必要も一切ありません。
ここで、両者の法的な位置づけと目的の違いを、表を用いて明確に整理しておきましょう。
漁業権 | 遊漁券(遊漁承認証) | |
---|---|---|
対象者 | 漁業を職業として営む漁業者や、彼らで組織される漁業協同組合 | 趣味やレジャー、スポーツとして釣りを楽しむ一般の釣り人(遊漁者) |
法的根拠 | 漁業法に基づき、都道府県知事から免許が付与される公的な権利 | 漁業権を持つ漁協が定める遊漁規則に基づく、私的な契約・許可 |
目的 | 特定の水域で、水産資源を管理・増殖させながら、排他的に漁業を営むための事業権利 | 漁業権が設定された区域内で、漁協の定めるルールの範囲で、レジャーとして魚を採捕するための一時的な許可証 |
このように、「漁業権」とは、漁業を持続可能な産業として成立させるための、極めて公的で大規模な事業権利です。その免許を取得するためには、地域の漁業者で組織された団体であることなど、厳しい条件が課せられます。したがって、個人がレジャー目的で取得できるものではなく、そもそも一般の市場で金銭的に「いくらで買える」という性質のものではありません。
私たち釣り人が釣りをするために支払い、そして必要とするのは、あくまで「遊漁券」です。これは、漁業権を持つ漁協が、管理・放流している貴重な水産資源を「利用させてもらうための料金」と理解するのが最も正確です。漁協はこの遊漁料収入を、稚魚の放流や産卵場の整備、密漁の監視といった資源保護活動の原資としています。つまり、私たちが遊漁券を購入することは、中禅寺湖の豊かな自然と釣り文化を未来へ繋ぐための、重要な投資でもあるのです。中禅寺湖の日釣券は2,700円(2025年時点)ですが、この料金にはそうした背景があることをご理解いただけると、釣りがより味わい深いものになるでしょう。
まとめ:中禅寺湖の釣り料金と注意点
最後に、この記事で解説してきた中禅寺湖での釣りに関する重要なポイントを、釣行前の最終チェックリストとして活用できるよう、リスト形式で簡潔にまとめます。このリストを頭に入れておけば、現地で戸惑うことなく、スムーズに釣りを始められるはずです。
- 中禅寺湖の釣りには遊漁券の事前購入が必須
- 料金は2024年に改定され日釣券は2,700円
- 遊漁券はコンビニエンスストアでは購入できない
- 購入場所は湖畔の大島商店と民宿越後屋の2か所のみ
- トラウトシーズン中は早朝3時から販売を開始する
- 18歳以下は無料の認定券交付制度がある
- 身体障害者手帳などをお持ちの方向けの割引制度もある
- 遊漁券の他に駐車場代などの付帯費用が別途必要
- 主要な県営駐車場は2024年から有料化された
- 駐車場料金は午前4時に日付が切り替わる特殊なシステムに注意
- 岸釣りと船釣りで解禁日や遊漁時間が異なる
- レンタルボートを利用すると費用は高くなるが釣果が期待できる
- 釣れる魚は日本で唯一のレイクトラウトやホンマスなど多彩
- 2025年4月からマス類の持ち帰り規制が全面解除される
- ただし特定外来生物の生きたままの持ち出し禁止など厳格なルールがある
- 釣行前には必ず公式サイトで最新の遊漁規則を確認することが最も重要