釣りを始めたばかりの頃、「ジグとルアーの違いがよく分からない…」と悩んだ経験はありませんか。釣り人の会話では、ジグとは何か、またメタルジグや様々なルアーの種類について当たり前のように話が進むため、混乱してしまう方も多いようです。この記事では、そもそもルアーとは何かという基本から、具体的なジグの種類やオフショアでのジグの使い分け、さらには釣りでよく聞くプラグとジグの違い、少しマニアックなプラグとミノーの違いまで、丁寧に解説します。また、「餌とルアーどっちが釣れるの?」や「ルアー釣りが禁止される理由は何?」といった素朴な疑問にもお答えし、あなたのルアーフィッシングへの理解を深めるお手伝いをします。
この記事で分かること
- ルアーとジグの基本的な関係性がわかる
- 様々なルアーの種類とそれぞれの特徴が理解できる
- 状況に応じたジグの使い分け方が学べる
- 釣りに関する素朴な疑問が解消される
初心者向け!ジグとルアーの違いの基本
- ルアーは疑似餌の総称!ルアーの種類
- 金属製のジグとはどんなもの?
- 最もポピュラーなメタルジグとは
- 釣りで重要なプラグとジグの違い
- さらに詳しいプラグとミノーの違い
ルアーは疑似餌の総称!ルアーの種類

まず結論からお伝えすると、「ルアー」とは、魚を釣るために使われる疑似餌(ぎじえ)全体の総称です。つまり、後述するジグやプラグ、ワームといったものは、すべてルアーという大きなカテゴリの中に含まれる関係になります。
ルアーは、その素材によって大きく2つのタイプに分類することが可能です。
ルアーの主な分類
ハードルアー
プラスチックや木、金属などの硬い素材で作られたルアーの総称です。代表的なものに、小魚の形をした「プラグ」や、金属の塊である「メタルジグ」、イカを釣るための「エギ」などがあります。それぞれに独自のアクションや得意なレンジ(水深)があり、多種多様な製品が存在します。
ソフトルアー
塩化ビニールなどの柔らかい素材で作られたルアーで、一般的に「ワーム」と呼ばれます。ミミズや小魚、甲殻類など、様々な生物を模した形状があり、そのリアルな動きと食感で魚にアピールします。ジグヘッドと呼ばれるオモリ付きの針と組み合わせて使うのが基本です。
このように、ルアーという言葉は非常に広い意味で使われており、釣り人が「ジグで釣った」と言うのは、「ルアー(の中のジグという種類)で釣った」という意味になります。
金属製のジグとはどんなもの?

「ジグ」とは、主に鉛やタングステンといった比重の重い金属で作られたハードルアーの一種です。その最大の特徴は、重さを活かした優れた遠投性能と、素早く海底まで沈む沈下速度にあります。
プラグが主にリールを巻くことで横方向に泳いで魚を誘うのに対し、ジグはロッドを上下に操作する「ジャーク」という動作で、ジグを跳ね上げたり、ひらひらと落としたり(フォール)して魚にアピールするのが基本的な使い方です。
この上下の動きが、弱って逃げ惑う小魚の動きを演出し、青物をはじめとするフィッシュイーターの捕食スイッチを入れます。ショア(岸)からの釣りでも、オフショア(船)からの釣りでも活躍する、非常に汎用性の高いルアーと言えるでしょう。
なるほど!「ルアー」という大きな箱の中に、「ジグ」という引き出しがあるイメージなんだね。
最もポピュラーなメタルジグとは

ジグの中でも、最もポピュラーで広く使われているのが「メタルジグ」です。一般的に「ジグ」と言えば、このメタルジグを指しているケースがほとんどです。
その理由は、シンプルな棒状や木の葉状の形状にあり、初心者でも比較的扱いやすい点にあります。ロッド操作への反応も素直で、ジャークの強弱や速さを変えるだけで、多彩なアクションを生み出すことが可能です。
また、狙える魚種が非常に豊富な点もメタルジグの魅力です。
- 青物: ブリ、ヒラマサ、カンパチなど
- タチウオ
- 根魚: カサゴ、ハタ類など
- フラットフィッシュ: ヒラメ、マゴチ
- その他: サワラ、シーバス、真鯛など
このように、ショアジギングやオフショアジギングといった釣りにおいて、メタルジグは釣りの中心的な役割を担う、いわば主役級のルアーなのです。
これからジギングを始めるなら、まず持っておきたいのが定番のメタルジグです。特に『メジャークラフト ジグパラ』は、価格も手頃で釣果実績も高く、入門者の一つ目として最適です。

豆知識
メタルジグ以外にも、ラバー(ゴム)のスカートが付いた「ラバージグ」や、ブレード(金属の羽根)が付いた「ブレードジグ」など、様々な種類のジグが存在しますが、まずは基本となるメタルジグから覚えておくと良いでしょう。
釣りで重要なプラグとジグの違い

ルアーフィッシングを理解する上で、ジグと並んで重要なのが「プラグ」の存在です。この二つの違いを把握することが、ルアー選びの第一歩となります。プラグとジグの最も大きな違いは、「主な素材」と「得意なアクションやレンジ(水深)」です。
前述の通り、ジグは金属の塊で自重があるため、沈下させて深いレンジを探るのが得意です。一方、プラグはプラスチックや木といった比較的軽い素材で作られており、内部に空気室を持つことで浮力を持たせたタイプ(フローティング)が多く存在します。
もちろん、プラグにも沈むタイプ(シンキング)はありますが、ジグほどの速さはありません。その代わり、水面や水面直下など、ジグでは攻めにくい浅いレンジを攻略するのが得意です。これらの違いを表にまとめました。
項目 | プラグ | ジグ |
---|---|---|
主な素材 | プラスチック、木、樹脂 | 鉛、タングステン、鉄などの金属 |
得意なレンジ | 表層~中層 | 中層~ボトム(海底) |
得意なアクション | 横方向の動き(ただ巻き、トゥイッチ) | 縦方向の動き(ジャーク、フォール) |
アピール方法 | 形状やリップが生む泳ぎ、波動、音 | 形状が生む動き、フラッシング(光の反射) |
このように、それぞれに得意な状況が異なるため、釣り場の状況や魚の活性に合わせて使い分けることが釣果アップの鍵となります。
さらに詳しいプラグとミノーの違い

プラグとジグの違いを理解したところで、もう一歩踏み込んでみましょう。釣り人の会話でよく登場する「ミノー」という言葉ですが、これは「プラグ」という大きなカテゴリの中に含まれる、ルアーの一種を指します。
つまり、「プラグ > ミノー」という関係性が成り立ちます。
プラグとミノーの関係
プラグ (Plug)
小魚などを模した、プラスチックや木製のハードルアーの総称。ミノーの他に、丸みを帯びた「クランクベイト」や、水面で音を出す「ポッパー」など、様々な種類があります。
ミノー (Minnow)
プラグの一種で、細長い小魚(Minnow)の形を模したルアー。多くは「リップ」と呼ばれる舌のようなパーツが付いており、リールを巻くとこのリップが水を受けて潜り、泳ぎます。
ミノーは、そのリアルな見た目と泳ぎから、シーバスやトラウト、ブラックバスなど多くの魚種に有効で、ルアーフィッシングにおいて非常に使用頻度の高いプラグの一つです。プラグという言葉は、これらのルアーをまとめた呼び名だと覚えておきましょう。
実践的なジグとルアーの違いと知識
- 形状や材質で変わるジグの種類
- オフショアでのジグの使い分け術
- 結局、餌とルアーどっちが釣れる?
- なぜルアー釣りが禁止される理由は何?
- まとめ:ジグとルアーの違いを理解して釣果UP
形状や材質で変わるジグの種類

一口にメタルジグと言っても、その種類は多岐にわたります。釣果を伸ばすためには、ジグの「形状」と「材質」の違いを理解し、状況に応じて使い分けることが非常に重要になります。
形状による違い
ジグの形状は、アクションの質やフォール(沈下)時の動きに大きく影響します。
- セミロングジグ: 最も標準的で万能なタイプ。やや細長い形状で、様々なジャークに対応できます。まずはこのタイプから揃えるのがおすすめです。
- ロングジグ: 細長い形状のジグ。タチウオやサンマなど、細長いベイト(餌)を捕食している青物に絶大な効果を発揮します。引き抵抗が少なく、速いジャークに適しています。
- ショートジグ: 短く幅広な形状。イワシの稚魚など、小型のベイトを捕食している状況に強いです。ただ巻きでも泳ぐタイプが多く、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
- スロージグ: 平たく、左右非対称な形状が多いタイプ。名前の通り、スローなジャークで真価を発揮し、ひらひらと木の葉のようにゆっくりフォールする動きで、低活性の魚や根魚にじっくりアピールできます。
材質による違い
ジグに使われる金属の材質は、同じ重さでもジグの大きさを変える重要な要素です。
材質 | 比重(水の約倍) | 特徴 | 価格 |
---|---|---|---|
鉛(なまり) | 約11.3倍 | 最も一般的で標準的な素材。多くのジグが鉛製。 | 標準的 |
タングステン | 約19.3倍 | 鉛より比重が重く、同じ重さでもシルエットを非常に小さくできる。潮の流れが速い状況や、小さいベイトを偏食している時に有利。 | 高価 |
鉄・すず | 約7.3~7.8倍 | 鉛より比重が軽い。同じ重さならシルエットが大きくなり、ゆっくりフォールさせたい時に有効。 | やや高価 |
例えば、「ベイトは小さいのに、潮が速くて重いジグが必要」という場面では、高価ですがタングステン製のジグが圧倒的に有利になります。その代表格が『ダイワ TGベイト』で、シルエットの小ささから「もはや餌」とまで言われるほどの釣果を誇ります。このように、形状と材質の組み合わせを考えることで、より戦略的なルアー選択が可能になるのです。

オフショアでのジグの使い分け術

船から釣りを行うオフショアジギングでは、刻一刻と変わる海の状況に対応するため、ジグの戦略的な使い分けが釣果を大きく左右します。重要な判断基準は「水深」「潮の流れ」「ベイト(餌)の種類」の3つです。
最重要:まずは底を取ること
ジギングの基本は、ジグを海底まで沈める「底取り」から始まります。ジグが着底した感覚が分からないと、魚がいるタナ(層)を正確に攻めることができません。初心者のうちは、少し重いと感じるくらいのジグから始めると、着底が分かりやすく釣りに集中できます。
重さの選び方
ジグの重さを選ぶ際の基本的な目安は「水深(m)の2倍前後(g)」と言われています。例えば、水深80mの場所なら150g~160gが基準となります。ただし、これはあくまで目安です。
- 潮が速い場合: 基準より重いジグ(200gなど)を使い、ジグが流されすぎないように調整します。
- 潮が緩い場合: 基準より軽いジグ(120gなど)を使い、より自然にフォールさせてアピールします。
船長から推奨ウェイトのアナウンスがある場合がほとんどなので、それに従いましょう。事前に船宿に確認しておくのが最も確実です。
形状とカラーの使い分け
重さを決めたら、次は形状とカラーを状況に合わせて選びます。
- ベイトに合わせる: 海にいるベイトの大きさにジグのシルエットを合わせるのが基本です。イワシがベイトならセミロングやショート、サンマやタチウオがベイトならロングジグが効果的です。
- カラーローテーション: 反応がない時はカラーを変えてみましょう。基本は、晴天・澄潮ならシルバー系、曇天・濁り潮ならゴールド系、そして深場や朝夕の暗い時間はグロー(夜光)系と覚えておくと対応しやすくなります。
これらの要素を組み合わせ、その日のヒットパターンを見つけ出すのが、オフショアジギングの醍醐味の一つです。
結局、餌とルアーどっちが釣れる?

これは釣り人が永遠に議論するテーマの一つですが、結論から言うと、「単純に魚を釣るという目的だけであれば、餌釣りの方が有利な場面が多い」と言えるでしょう。
その最大の理由は、餌が持つ「匂い」と「味」にあります。本物の餌は、魚の嗅覚と味覚に直接訴えかけるため、特に魚の活性が低い状況でも、じっくりと匂いで寄せ、食わせる力があります。初心者の方が最初に釣果を得やすいのは、多くの場合、餌釣りです。
しかし、ルアー釣りには餌釣りにない多くの魅力とメリットがあります。
どちらが良いというより、楽しみ方の違いなんだね!
- ゲーム性: どのようにルアーを動かせば魚が口を使うか、試行錯誤する過程が面白い。
- 手返しの良さ: 餌を付ける手間がなく、広範囲を効率的に探ることができる。
- 手軽さ: 活き餌の管理や後片付けの手間が少なく、思い立ったらすぐに行ける。
- 対象魚: 餌では釣りにくい、回遊魚などのリアクションバイトを誘いやすい。
つまり、餌釣りは「魚の食性に頼る釣り」、ルアー釣りは「魚の捕食本能を刺激する釣り」と言い換えることができます。どちらが優れているということではなく、それぞれに違った面白さがあるのです。
なぜルアー釣りが禁止される理由は何?

残念ながら、一部の釣り場ではルアーフィッシングが禁止されていることがあります。その理由は一つではなく、主に以下のような複数の要因が絡んでいます。
ルアー釣りが禁止される主な理由
- 周囲への危険防止: ルアーは何度も投げる(キャスト)釣りであり、重いオモリや鋭い針が付いているため、周囲の釣り人や通行人に当たると大事故に繋がります。特に混雑する釣り公園や管理釣り場、漁港の一部などで安全確保のために禁止されるケースです。
- 根掛かりによる環境問題: ルアーが海底の障害物に引っかかる「根掛かり」で切れてしまうと、鉛やプラスチック、釣り糸が水中に残置されます。これが溜まると、水質汚染や海洋生物への悪影響が懸念されます。
- 漁業権との兼ね合い: 特定の水域では、漁業協同組合が魚介類を獲る権利(漁業権)を持っています。その対象となっている魚種(アワビや伊勢海老など)をルアーで釣ってしまうことを防ぐ目的や、養殖施設への被害を防ぐために禁止されることがあります。
- 他の釣りとのトラブル回避: 撒き餌で魚を寄せる釣り(フカセ釣りなど)の近くでルアーを投げると、寄っている魚を散らしてしまうことがあります。釣り人同士のトラブルを未然に防ぐために、エリア分けされたり、ルアー自体が禁止されたりします。
釣りを楽しむためには、その場所のルールを事前に確認し、必ず守ることが絶対条件です。ルールを守り、安全でクリーンな釣りを心がけることが、未来の釣り場を守ることに繋がります。(参照:水産庁 遊漁のルールについて)
まとめ:ジグとルアーの違いを理解して釣果UP

今回は、ジグとルアーの違いを中心に、様々なルアーの種類や使い分けについて解説しました。この記事の要点を最後にリストでまとめます。
- ルアーは疑似餌全体の呼び名
- ジグはルアーの中の一つの種類
- ジグは主に金属でできていて重い
- プラグはプラスチックや木でできている
- ジグは遠投や底を探るのが得意
- プラグは水面や一定の層を泳がせるのが得意
- ミノーは小魚の形をしたプラグの一種
- メタルジグは最も基本的なジグである
- ジグは形状によってアクションが変わる
- ショートジグは小さいベイトの時に有効
- ロングジグは細長いベイトを模倣する
- ジグは材質によっても沈む速さが違う
- タングステンは鉛より小さく重いのが特徴
- 状況に合わせたジグの使い分けが釣果を左右する
- 餌とルアーにはそれぞれ長所と魅力がある
- 釣り場のルールやマナーを守ることが最も重要
これらの違いを理解し、状況に応じて適切なルアーを選択できるようになれば、あなたの釣りの世界はさらに広がり、釣果もきっと向上するはずです。まずは基本のメタルジグから、様々なルアーを試してみてはいかがでしょうか。
